思うこと

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1:過去のいつか、冬で、曇りで、日曜で、あっという間にもう午後で、それでなにか食べるために、殺風景な町に出て、歩いて行ける範囲の「行きつけと言うほどでもないけれどたまに行く」中華料理屋に、平日の通勤通学のときよりはずっと遅い速度で歩いて行き、ガラガラとドアを開けて、空席を見つけて、その店に行くとだいたいこれを頼むことにしているというマイ「定番」メニューを頼む(大学の頃だったとすると、私の定番は「天津丼と餃子」だった)。注文してから料理が出てくるまでのあいだ、調理の油のせいでなんとなくヌルヌルした感じの漫画雑誌を手に取り、例えば松本零士の連載を読むと、そこには切れ長の目の髪の長いヒロインが哀しそうに震えている。店の少し高いところにあるテレビ台に置かれている小さなテレビには休日の午後の番組が映っている。のど自慢だったり、新婚さんののろけ話だったり、分野ごとに簡単な問題から難しい問題までがマトリックスになって並べられているクイズ番組だったり。まだ昼飯だというのに食べ終わって、ちょっと本屋にでも寄ってから外に出ると、もう夕方の気配が漂い、なんだかあっという間に一日が終わる感じがするものだ。たいていのそんな日曜日は、ひとりきりだから、中華の店で「天津丼と餃子をください」と言った以外にはひとことも話していないのだったが、たまには友だちと一緒のこともあっただろうか。そういう日ならもちろんぼそぼそと話はしたけれど、たいていは目下の問題、テストの準備とか実験の課題とか出席日数の懸念とか。あるいは話題の小説や映画のことで、そんなのは「しょせんちっぽけな、それまでのこと」で忘れてしまってもかまわない。

2:先日、電車に乗っていたら有名進学校の高校生男子二人が話しているのが聞こえてきた。ひとりは将来自分がなにをやるべきかを悩んでいて、起業とかベンチャーといった単語が出ているが、夢あふれるというより戸惑って悩んでいる。もう一人はそんなことに興味がなさそうでゲームをしながら聞き流していたな。

 

撮ったときにはそんなことはいちいち思いもしない。だけど、この写真を撮って数日後に自分でPCモニター上で眺めているうちに、1と2のようなことを思い出したのだった。