石の模様の形

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本日より出勤。早朝5:25頃に自家用車で出発。まだ年始で始動していない会社が多いのかいつもよりもトラックの数が少ないようで、信号もついていたこともあり(赤信号で停まる回数が極端に少なく)日の出の15分くらい前には都内の会社に到着する。車から降りると、会社の建物で起きるビル風で真っ直ぐに立って歩くけない。前傾姿勢となりバッグを抱えて必死に歩く。建物のなかは冬休みのあいだ全館暖房を切っていたのだろうか、冷え込んでいて、ついさっきONされたばかりらしいエアコンの通風口がなにやらピシピシと音を立てている。あぁ、むかし住んでいた木造平屋の古い家の柱や梁は、よくこんな軋む音を立てていたな、と思い出す。居室は11階にあり、朝食べるコンビニで買ってきた小さなうどんを電子レンジで温めているときに、朝日が昇る。ブラインドの隙間から見える遠くのビルのガラスがキラキラと輝きだした。もっと遠くのスカイツリーも霞まずくっきりと見える。今日も元旦の朝と同じような澄んだ空気の冷たい朝だ。わたしはフロアで一番か二番目に早い出勤だった。あとから三々五々やって来る、全員多かれ少なかれ私よりも若い人たち、そのうちの何人かが、年始の挨拶に席に寄っていくから、そのたびに椅子から立ち上がり、今年もよろしく、と言う。そうしてあとはいつも通り、仕事が始まった。

残業をせず早めに帰宅する。PCのすぐ横の本棚に小石が置いてある。いつ拾ってきた石だろうか、どこの浜で拾ってきたんだったっけ?なにも覚えていないが、ここ一年くらいのあいだに拾ったのだと思う。森戸か立石か、そのあたりだっただろう。海を歩くとき、小さな石ころをひとつふたつ拾ってポケットに入れる。毎回ではないけれど。たくさんの小石の中をじっくりと選び抜くわけではない。歩いていて、最初は石のことなど気にも留めずずんずん歩いているのだが、ふと小石に目が留まると、そこからちょっと足元に視線をやって数歩かもう少し、石を見ている。気になった石をひょいと拾い、砂を落としてポケットへ。それで満足して、それ以上は小石を見ない。いま拾ったものを越えるような自分なりの好きな石ころをさらに探したりもしない。そんな風に大した熱意もなく、それでも一応はいくつかの中から選んだ小石が置いてある。石のグレーの部分と白の部分がどう違うのか~成分とかそういうこと~を全く知らないが、知らなくても白の部分の形をなにかに見立てることはしてしまう。雲の形をなにかに見立てることは小さなときからよくやった。奥田民生は「さすらい」の中で「雲の形をまにうけてしまった(からさすらう)」と歌っていたな。

この石の白いところは首から上の鹿の形に私には見える。長い首、二つの眼と鼻の頭、そして角はちょんまげみたい。でもこういうのは私にはそう見えて、一度そう見えたらもうそうなのだが、ほかの人は「どこが鹿なのよ???」となり「鹿には見えないけど餃子には見えるね」となり、私は「えっ?どこが餃子なんだろう」となるのだ。