季節外れだから物語

 9月の写真を求めてHDDへ潜航。7年前でしょうか?葉山の海で撮ってあった写真です。母親かな?大人が一人見守るなかで、波の穏やかな、大人の腰くらいの深さの海で子供が一人泳いでいる。あるいは、泳ぐ練習をしている。もう9月だというのに。もう海の家も閉じて秋の海に泳ぐ人はいなくなったというのに。

 つげ義春の漫画で、彼女におだてられて、海を砂浜と平行に行ったり来たり、クロールでずっと泳ぐ男の話があった(例によって確認していないのでうろ覚えです)。この少年はもしかすると夏休みのあいだに××m泳げるようにしてきなさい、といった体育の宿題のテストを控えているのだろうか?そのための最後の練習をしているのだろうか。

 あるいは少年自身が夏が終わって行く、その最後の夏の遠ざかる背中に名残惜しく別れを言うべく、母を誘って海へ来たのだろうか?

 あるいは・・・あるいは・・・

 季節外れの冬の日に、どこも傷んでいない蝉の抜け殻を砂浜で拾ったことがありました。大風が吹いてずっと脱皮した木に残っていた空蝉が風で砂浜に運ばれたものか?それにしても綺麗だったから、誰かが集めたそれを砂浜で捨てたのだろうか?季節外れのなにかに出会うと、そこに秘められたなんらかの物語があるように思えてきますね。

 あぁ、そういえば9月になったらスーパーのお総菜売り場に牡蠣フライが並んでいた。こんなのはもちろん冷凍で本当は8月にだって調理できるものなんだろうな。それでも秋になると出て来るからやっぱり季節感はある。スタバに行ったらこの夏のイチオシだったコーヒーエイドクールライムが終わっていました。