冬に向かっている

 いくつにも線路が分岐して、むかしはいろんな種類の貨車が置かれていて、最近はコンテナ用の貨車ばかりだけど、貨物列車の編成を作るために操車場用の小さな機関車 ~ 私が子供だった1960-70年代にはデッキを持っていた茶色のEF10番台の電気機関車や凸形のディーゼル機関車のDD13が、いまは名前はよく知らないけれど同じくオレンジ色の凸型のディーゼル機関車が使われているようだけれど ~ 小さなそういう機関車が動き回っていて、貨車と貨車が連結されるガシャンという音や、編成全体が止まるか動くかするたびに連結器の隙間が寄せられるガシャガシャガシゃ・・・と連なる音が響き、この写真もそうだけれど、乗客用の施設ではないから、場所の「綺麗さ」は業務に求められる以上のことは不要であり、線路のあいだには雑草が繁り、晩夏から秋には虫の声が聞こえている、そうそう、夕日を正面に逆光で見ると、たくさん分岐した線路が光ってそれを望遠レンズの圧縮効果で撮るのが旅へ誘われるような気分をまんまと高揚させられる定番写真だったな、そういうのが、私のイメージする操車場。ときにはドラマや映画において、敵と味方が、あるいは善と悪が、貨車を盾にしてドンパチやったり、無賃乗車の旅へ出る若者たちの象徴だったり、場所としてもずいぶんと「活用」されていた。鉄道写真を撮る人にとっては車両が写っていないと写真の価値はないのかもしれないが、この上の写真には秋になり枯れた夏草が写っている。きっと季節季節でこんな殺風景な操車場風景でも四季のうつろいが写るんだろう。

10月30日の日曜日に、長らく鉄道を動画静止画で記録している会社の同期の友人に案内してもらい、私は初めての南千住という駅で待ち合わせて、近くの操車場に出入りする何本かの貨物列車を眺めた。とは言え、私はその初めての街にも興味があり、彼がずっと操車場の動きを見ているあいだに、駅の周りをぐるりと歩いてみたが、一泊2500円くらいで泊れる安価な個人経営?のホテルというのか宿泊所がたくさん建っていた。宿泊所のあるその背景まではよくわからなかった。宿泊費も2200円くらいから2600円くらいで競争しているようで、各宿泊所の「売り」は、全室カラーテレビ完備とか全室冷暖房完備とあった。ちょっとのぞくとフロントというのか受付には公衆電話が置かれている。不思議な感じ、タイムスリップしたような……。駅の近くには都バスの車庫があって、その隣は都営南千住二丁目アパートという古い高層アパートが建っていた。

 下の写真は駅の近くにあった小さな小さな公園の砂場に置いてあった玩具です。自分の影がちょっとはいってしまった。ほかにもしゃがんで撮ったり、上から撮ったり、焦点距離を変えてみたり、アップで撮ったり、何枚か写真を撮ったけれど、撮影結果を眺めていると、なんだかこれがいい気がしてきました。

 昨日、30日はその前の数日と同じく、朝は少し寒いけれど、昼間は気温がずいぶん上がる。下着がわりのTシャツのうえにコットンシャツを着て、ウインドブレーカー的なのを羽織る。朝はその下にユニクロのウルトラライトダウンベストを着て、昼間はそのベストを脱いでバッグに入れていた。そんなことをしながら過ごすが、少し前はダウンベストを着たり脱いだりはしなかったから、いつのまにか季節が冬に向かっているってことだ。公園の砂場に忘れられた玩具も一緒に冬に向かっている。