鉄塔とゴースト

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 自家用車を運転しているが、道路は渋滞していて、とうとう停まる。横を見たら白い骨のように鉄塔が立っている。窓ガラスを下げて、一枚写真を撮る。やがて前の車がのろのろと動き出したので、それに続く。あとから写真を見たら、こんな風にゴーストが写っていた。1950年代のオールドレンズだ。順光のときの解像力はいまのレンズと引けをとらないくらいに良く写る。この場所は写真には写っていないところにとても明るい街灯がいくつもあったから、フードもないオールドレンズに、斜めから来た明るい光が入り、迷光を生んだ。もしかすると、このライカスクリューマウントの50mm1.8レンズが現れた頃には、こんなゴーストを生んでしまうような世の中の「灯り」「明かり」って無かったのかもしれない。

 先日鉄道ファンの友人から、昭和30年代に作られた、鉄道システムが徐々に電気により近代化していく状況を撮ったドキュメント映画を教えてもらい、YOUTUBEで見たら、新鶴見操車場、いまの新川崎駅のあたりに広大な操車場があったのだが、そこで貨物列車の編成替えをしていく方法が、人の頭と手計算による指示を拡声器の声だったか手書きの指示書だったかで現場に伝えらえ、連結士と呼ばれる役目の鉄道員が、緩い坂の上にある貨車一両に乗り、下り坂を利用して下って行く。その貨車が各ポイントをどう分岐してどの編成に行き着くかは、指示通りに自動ポイント切り替えがされていて(もしかしたらポイント切り替えに多くの人手を使っていたかも)、それに従って組み込まれる編成の末端に貨車は進み、うまく連結すべく連結士は徐々に飛び乗っている貨車のスピードを調整しながら進めていきその貨車を連結すると、また坂の上に戻る、という一連の仕事が紹介されていた。連結士という名前で呼ばれる職業はいまもあるのだろうか?