くぐる路

 住宅地を歩いていると、よくどなたかのお宅の庭に夏ミカンの木が植えられていて大きな黄色い実がたわわにぶら下がっているのを見かける。だけど、この夏ミカン(と思われる)木は横方向にも大きく広がっていて背も高く、夏ミカンもこんなに大きくなるのか!と驚いた。場所は茅ケ崎市の南湖院太陽の郷という特別養護老人ホームの北側に隣接した公園で、もとは南湖院というサナトリウムが戦前まであった場所だ。病舎のひとつがいまも保存されているが、往時は何棟もの病舎があり、著名人もずいぶん治療生活を送ったらしい。

 以下11月3日の文化の日のこと。昼前にはじめて行ってみた。ぽろんぽろんと持ってきたギターを芝生に座って爪弾いている人がいただけ。広い敷地にほかには誰もいなかった。3日は季節は11月に入ったというのに最高気温が24℃くらいまで上がった日だった。西風が強い日だった。夏ミカンの下をくぐる細い路がある。写真を見て、あれ?こんなところに路があったっけ?と思った。腰を屈めないと頭に枝葉が当たりそうだ。頭を屈めないでここを走って通り抜けることが出来る子供たちだけの秘密基地への入り口かもしれない・・・

 このあと、茅ケ崎の港に行ってみたら、強い西風でまるで地吹雪のように砂が飛ばされていた。頬に砂が当たる。目が開けていられない。午後1時頃。早朝出の乗り合い釣り船が波と風に揺られながら戻って来たようだ。釣り宿の前で釣れた魚が入ったバケツを見たらどうやらキハダマグロがたくさん釣れたようだった。釣り宿の前に停められた車のナンバーは例えば春日部だ。

 漁港から帰り道、電線にずらりとヒヨドリがとまってさかんに鳴いていた。その下をくぐると糞が落ちてこないか・・・ひやひやして自転車の速度を上げて通り過ぎた。

 朝、自転車に空気を入れて、チェーンに油を挿し、フレームが埃を被っているのをふき取ったから自転車で移動するのは実に快調な感じだった。