1974年に建ったビル

 横浜の日本郵船歴史博物館のすぐ隣に、なんだか60年代か70年代っぽい白いビル、青いラインがかっこいいビルがあることに気が付いた。調べてみると1974年竣工。郵船歴史博物館を見物したあとに、このマリンビルのまわりをうろうろし、見上げて、写真も撮った。写真はフルサイズセンサーのカメラで焦点距離17mmの超ワイドで撮ったうえで、相当強く台形補正をかけている。ビルの全容を写すのは難しい。TSレンズがだんだん欲しくなります。

 ビルが竣工した1974年。よく聴いたアルバムは、ニール・ヤング渚にて」、ボブ・ディラン「プラネット・ウェイブ」吉田拓郎「今はまだ人生を語らず」。読んだ小説は、リチャード・バックかもめのジョナサン」。よく聴いたシングル盤はウィングス「ジェット」、チューリップ「銀の指輪」、ウィークエンド「岬めぐり」、よしだたくろうかまやつひろし「シンシア」、クイーン「キラークイーン」。

 と、書き連ねると、そのアルバムをこんなときに聴いていた、そのシングル盤をあんなときに聴いていた・・・と記憶がまとわりついているのがわかる。若い頃のことは覚えておく必要のないことまで、なにかにまとわりついて覚えているものだ。それがいいことなのかどうなのか、やれやれ。

 マリンビルは現役のオフィスビルだから、ネット検索をかけても不動産屋の賃貸情報ばかりが出てくる。60-70年代のビル好きの人が書いているブログも見つからない。当たり前の普通のなんの変哲もない70年代の無名のビル。ヒットしなかったまま、忘れ去られているシングルレコードみたい?例えば小室等の「かげろうの唄」はテレビドラマ「丹下左膳」のテーマソングだったが、そんな曲のこと知っている人はほとんどいないだろうな。

♪もしも空のように もしも水のように 土のように そんなそんな自分だけのものがないなら 一日のうちに生まれて 生きて死んでいく かげろうに生まれかわりたい♪

なんとなく70年代の「かっこよさ」が詰まった歌詞だと思う。映画「イージーライダー」日本公開が70年。アイデンティティのために自由が欲しくて、自由が欲しくて体制と対決し、ときにそれにより死が起きると、反体制の英雄が生まれていたような。でもそれは「かっこよいようだけど実はむなしい」から、もっと「かっこいいはずの」自由が実現した平和な世界になりたい。それなのに、いま(今年)はそれがまた後退しないように、努力をせねばならないから大変だ。