なにを撮るか

 誰でもそこに行けて、誰でもそこにカメラを向けることが容易に可能で、だけど誰もそんな場所は撮らないのだが、だけど写真になると特別に見えて、写真からなにか鑑賞者の感情を揺さぶって来るパワーが伝わる、そういう写真がいちばんカッコいい、というカッコいい写真の定義があるとする。反対に誰でもすぐに撮ることができるわけではない場所も時間もカメラ機材も準備万端整え、かつ現場では偶然の要素にも対処しながら、決定的な誰も撮ることができないような例えば絶景を記録する写真がいちばんカッコいいという定義もある。結局ひとそれぞれだ(笑)

 他の方のブログやインスタグラムを見ていると、なかには一貫した作風で、この人の写真はこういう感じ、というのを意識的に統一させていて、見せ方も姿勢もすごくいいなと思わされるものに出会う。ぶれていない。わたしは「なんちゃって××写真」で、すなわち、ときに、モノクロのアレブレだったり、ニューカラーだったり、風景の決定的瞬間だったり、複写拡大によるコラージュ的だったり、コンポラだったり、それらが皆「なんちゃって」レベルで、要するにカラオケに行って様々な分野の曲を片っ端から歌い散らかしているたいして上手くもないオッサンという感じである。ぶれまくり(笑)

 最近上記の「誰にでもそこに行けて・・・中略・・・パワーが伝わる」写真とはこういうのかな、と思う写真をよくアップしていらっしゃるインスタを見つけたけれど、それは日本人の私が見てそう思うわけで、日本とは異なる気候や風土や民族の方から見ると別の見え方をするんだろう。そう考えると、スティーヴン・ショアに代表されるニューカラーの写真は、日本人がその写真を見て感じるアメリカという異国の特別感、異国情緒のようなことを、当のアメリカの方は感じないで見るのだから、アメリカの方が見るニューカラーの作品は、上記の「誰にでもそこに行けて・・・中略・・・パワーが伝わる」に属しているのかもしれない。

 上の写真はこんなことを考えているときに撮った写真で、横浜の港湾地区の首都高速が上を走り、コンテナトラックがたくさん通るような場所にあった派出所です。