若葉の頃に

 背の高さ120cm(7-8歳)の頃、春の放課後はまだまだ明るくて(その背の高さの頃には)町のそこここに残っていた原っぱや空地の低木や雑草をかき分けて歩いて行く。それはどこかへ向かう近道を行くときや、かくれんぼ遊びで隠れ場所を探すためでもいい、そんなときにこの写真のような光景が見えていたのではないだろうか?そういうことを考えながら撮ったから、この気まぐれにそのあたりを適当に撮ったように見える写真ではあっても、ちょっとこの写真を撮ったことが嬉しいのです。

 古い映画「小さな恋のメロディ」のラスト場面でCSN&Yの曲「ティーチ・ユア・チュルドレン」が流れる中、トロッコに乗った小さな恋人たちが、たしか夕日の中だったかな、大人の現実の世界から自分たちだけの世界へと逃げて行く(いや彼らの心境は冒険に出て行く、だろうか)一瞬の、でも永遠たれと願う、所詮はいつか消えてしまう夢のような時間へと小さくなって行く。あの映画を中学一年のときに見たときは、中学一年だったが故に、ものすごく心がざわついてざわついて、どうしようもなく感動したけれど、別の年齢で観ていたらそんな感動はなにも覚えなかったんだろう。

 上記の子供の頃の話と「小さな恋のメロディ」の話は、その関連性がなにもなくて、書いている自分もその関連を説明するようなことを文章に示せないのですが、でもこの写真を見ているうちに、その二つのことが思い出されたのです。文章にできないが写真が繋いだふたつの話。

 この文章は畠山美由紀の「若葉の頃に」を聴きながら書きました。というわけで若葉の写真も一枚・・・