撮影場所不明の写真

 写真を撮った順番に見返すと、歩いたり乗り物で進んできた導線が思い出せる。ときどき、前後の写真から「ここよりは先で、あそこよりは手前」で撮ったと類推できるものの、そんな場所があったっけ?と思い出せない場所が写っている。だけど、たしかにある、または、あったのだ。この写真も前後の写真から、あのあたり、というのは判るのだけれど、こんなところあったっけ?と、場所がわからない。あぁ、あそこね、と思えない。そうか・・・そのあたりにある店舗、ファミレス風の中華料理店の駐車場かもしれない。

 この車はフェンダー・ミラー(バックミラーの位置がボンネット前方両端)だから、80年代かせいぜい90年代前半ころまでに造られた車なのだろうか。セドリックかクラウンか、どっちだっけ。

 車の運転について誰かと話すことなど滅多にないけれど、話題に上るのは、ナビの登場以降、ナビ任せで道を選ぶから、どっちに向かって工程全体のどのあたりをどっち方向に走っているのか?そういう情報を取ろうと思えばナビの画面を見ればわかるんだけど、それすらあまり見ないで、ナビがしゃべってくれるまんまに従順に運転するだけだから、どを走っているのかよくわからないままに運転しているということだ。地図的な情報はブラックボックスに隠されたまま、ナビの言うがままに進んでいく。そして、それに慣れてしまうと、むかしはよくもまぁ、道路地図帳を頼りにして、はじめての場所まで行ったものだよなぁ、いまとなっては信じられないな・・・と言っては誰かと笑い合うことになる。地図とにらめっこをして、××という交差点で左折して、おおむね三キロ走り、◇◇を越えたら、百メートルで右折、たんぼのあいだの道を道なりに行って・・・ということを読み取っては、けっこう先の先まで道筋を覚えて運転に臨んでいたんだと思う。助手席に誰かがいれば、地図を見てもらうナビゲーター係になったものだ。

 このブログにも過去に書いたと思うが、加山雄三主演の若大将シリーズのなにかの映画で、大学の自動車部に所属する若大将が地図を見ながら、所定時間でどこからどこまでかを走るレースに参加するのがあった。ああいう、レース場で時間を競うのではなく、地図を見ながら、所定時刻で指定された道路を進むタイプのレースはなんて言うんだろう?若大将が運転して助手席のナビ係が地図にある「小さな橋(ちいさなはし)」を「小さな橋(こさな橋)」と読み間違え、なかなか「こさな橋」という名前の橋が見つからないと言っては右往左往する場面があった。なんだか妙にその場面ばっかり覚えている。小学生の私にとても面白く思えたギャグ場面だったんだろう。

 ナビが標準になってから交通事故は減っただろうか?

 1980年代頃、夜、友だち3人が、車の運転が大好きで休日にはサーキットで走ることも趣味としているS君の運転するトヨタの・・・レビンだっけ?トレノってのもあった?トリノかな(笑)、サーキット用に改造された車に乗り込んで、西湘バイパスを走った。夜の交通量の少ない高速道路を走ることと、その車のラジオからマイルスのトランペットが聞こえてくることが、なんとなくあの頃のことを思い出すと、そうだったわけでもないのに、そういうセット(夜の高速とマイルスのセット)で思い出すように、私の心というのか記憶は出来ている。だからS君の運転する車に乗って暗い海を見ながら移動しているときにも、本当はそうではなかったかもしれないが、マイルスのキリマンジャロかサイレント・ウェイが流れていたに違いない。