階段のタイムトンネル

 本日の以下の文章はなんでしょうね?浮かび上がってきた脈絡のない文を並べてみただけです。

 

 階段の両側の壁には花が描かれたビロードのような生地の布が貼られている。細い階段を登るのは勇気がいり、そこで待っているものが何なのか、わからない。雨の音?気が付いてしまうともう耳から離れない、屋根を打つ雨の音。カセットテープを巻き戻すときに、キュルキュルと音がした。ダイアル式電話を掛けるときに人差し指の指先を番号がその向こうに見える穴に差し込み、右に、ストッパーに当たるまで回していた。指を抜くと、バネの力でダイアルが戻る、そのときのジーッという音が、いまも聴き分けられるだろうか?階段は踊り場まで進み、向きを変えてしまうと、そこから先は戻れないだろう。A面が終わったことに気が付かずに、レコード針がレコード盤一回転に一回づつブチブチと音を立てている。構うもんか、それよりも・・・と夢中になったあれこれがあっただろうか。遠雷が聞こえ、まだまだ遠いくせに、裸電球がふっと暗くなっては、すぐに勢いを取り戻した。触ったってかまわないわと誰かがささやいた。空耳。

 階段一段で4年の勘定だろ?だとすると、7段昇って28年、折り返して二階に着いて56年。足りない分はどうするんだ?足りなかった男たちが集まって思い出話をしたってつまらない。キース・リチャーズのギターの構え方はかっこいい、共通認識、共通の価値。それは引き継がれているのか?覆されて行くのか?

 雨だって?帰りに傘がないから、それを理由に朝までいよう。夏の朝は早い。腫れぼったい目をして丸いやかんで沸かした水道水で、カップヌードル食べて。