旅先から持ち帰るもの

 一昨日、京都旅行の最後の日の、そのまた最後の残された一時間、その一時間が過ぎてしまえば新幹線で関東に戻らなければならないという時刻に、駅にに近い住宅街の路地にあるカフェに行って珈琲を飲んだ。大橋トリオに似ている蝶ネクタイをしてサスペンダーのパンツを履いている粋な風情の30代くらいの背の高い男性が一人でいて、カウンターに座っている常連客の学生らしき男のほかには私だけが客だった。意外に細かいことが書いてあって、写真は撮るな、とか、あんまりおしゃべりするな、とか。旅行のあいだ、持って来た文庫本を読む時間がなかった。というより読書に充てればいいものを他のこと、例えばスマホでなにかを調べだしたら止まらないとか、そういうことで読書をしなかった。最後の一時間くらいは読書をしてみようと思い、読みかけのマッカラーズ短編集を読んで過ごした。読んでいる途中でふと店に流れている静かな音楽、ささやくように歌い、シンプルな楽器構成のゆっくりとした曲が気になった。そこでまた結局はスマホを立ち上げてしまい、音楽を探索してくれるフリーのアプリを立ち上げて、スマホに曲を聞かせた。そうしたらJAN AND NAOMIという二人組の歌だとスマホが早速検索結果を示してくれる。それでその場でアマゾンで一枚のCDを購入してしまいました。旅先で出会った曲や、旅先の本屋で見つけた本は購買ハードルが低くなっている気がします。

 今日、そのCDが届いた。早速小さな音量で流しながらこの文章を書いています。ウィキによればこのバンドの音楽的分類は、シューゲイザー、シンセポップ、テクノとなっていました。

 旅先から持ち帰るものが新しく知った音楽というのも、いいじゃないか。

 写真はアンビエント京都という音楽と映像のイベントの会場で撮ったものです。