南関東の冬の縁側

 昨日の快晴の日曜日、小田原市文化財課が主催してくださっている文化財建造物、秋の観覧会というイベントに行ってみました。小田原市が管理している建造物の一般公開。このうち箱根板橋地区の四つと鴨宮の一つ、計五つを回ってみました。カメラはAPS-Cセンサーサイズのレンズ交換可能なミラーレス一眼にして、1950年代の古いレンズで撮りました。ちょうど南関東は楓の紅葉が真っ盛りで、どの建造物にも庭があって、赤い楓やそのほかの落葉樹や常緑樹の木々に冬の日差しがあたり、南関東の冬らしい鮮やかで明るい日になりました。写真は三淵邸・甘柑荘という建物。初代最高裁判所長官の方が昭和初期に建てた建物。

 とても懐かしい。私は戦前(たぶん昭和初期)に建てられた木造平屋長屋に15歳まで住んでいました。写真の建物とは比べてはいけないほどの安普請だったけれど、南側にそれなりに広い庭があり、バラやボケや紫陽花が植えられていた。小さな瓢箪型の池もあった。そして、その庭に面しては廊下(縁側)があり、写真のような一枚ガラスではなかったけれど、桟のあるガラス戸を閉めると、光が閉じこもり、ぽかぽかのサンルームになったものです。冬の真昼間はもうシャツ一枚でも過ごせるほどで、そこで、本を読んだり、寝転がってみたり。だけど午後も3時を過ぎてしまうと日が傾きサンルームはオレンジ色になってくる。と同時に寒くなり、早い夕方には、木の雨戸を戸袋から次々に引っ張り出して閉めたものでした。西高東低の気圧配置で毎日たいていは快晴。朝晩は寒くても、昼間に縁側にいてガラス戸を閉めるとぽかぽか。こういう点では私の住んでいた長屋でも、この写真の住宅でもきっと同じ。冬の南関東のとくに湘南地方や西湘地方は、ここが良いところだと、ずっと住んでいるけどそう思います。

 この家の庭にはたくさん柑橘系の木があって、大きいのや小さいの、オレンジから淡い黄色まで、いろんな実が生っていました。