カウリスマキの「枯れ葉」

 昨日の土曜の午後に有楽町にある映画館でアキ・カウリスマキ監督の新作「枯れ葉」を観てきました。なんだろう、この鑑賞後の豊かな気分は。痛快、ほのぼの、幸せ、優しさ……全部そうで、全部それだけじゃない。うまくいかないことと、うまくいくこと、一人の生きて来た道において、その総量のプラスマイナスは、大人数を寄せ集めればプラマイゼロなのか?プラスにあることイコール幸せなのか?それとも政治家が彼が国を良くしようと自国さえ伸びればよいと相手を蹴落とす競争をしていて、その結果の経済的指標が上位の国の民が幸せなのか?生きて来た過去にマイナスが大きくて、最後にプラスになっても、絶対値で見ていないと正しく測れていなくて、それなのに幸せだと思うのは「卑屈な」幸せなのか?

 そんなの全然関係ないじゃん、と思いました。何が人の心に豊かさをもたらすのか、それは人が過去を忘れていくという素晴らしい機能に助けられているかもしれないけど、結局は今日のこの今が安らかで愛に溢れていることがいちばん大事なんだ。個々が個人として幸せになっているから、隣の人をそのまた隣の人を更に隣の人を憎まない。そういうことじゃないか。

 目の前のトーストやゆで卵やバナナが美味しいと感じられる些細なことと、世界の平和には遠い隔たりがあるのではなく、小さな美味しいが世界平和そのものなんだ。みなが美味しいと思えますように!そんなことを考えながら銀座を歩いて帰りました。
 花が落ちずに枯れ残り、ずっと雨が降らない真冬の南風関東の畑に、あり続けると、それは自然の作ったドライフラワーなんですか?2年か3年前の写真です。このブログに使ったような気もするし使ってないかもしれません。

 美しさってなんでしょう?