冬枯れの午後三時

 神奈川県立花菜ガーデン、家から車で20分くらい。

 1月5日に訪問したときにはアイスチューリップがまだ咲いていて、ところどころに薔薇の花さえ見ることが出来たのだが、それから18日経って、もうチューリップは抜かれていて、薔薇の花は枝先に残っていても枯れて乾いていた。この18日で残っていた少しの植物の吐息が、一気に絶えたように感じるが、それでも歩いて行くと、春に芽吹く新しい葉や、春に咲く花の蕾が、膨らみ始めている。咲き始めていたロウバイの花は甘い香りを放っていた。ロウバイの花の黄色を見ることが出来たが、総じて冬枯れとはこういうことか。繰り返すが、18日前よりはるかに寂しく荒涼としている。空は今にも雨が降り始めそうに曇っている。冬枯れて残った葉を見ても、それが何の葉はのか、なんという植物なのかがわからない。枯れてしまうと名前も消える、淋しき・・・。16:00閉園となる季節。14:45に入門したが、ひとしきりそんな寂しい冬枯れを撮り歩いていき、時計を見たらもう15:50になっていた。カメラを仕舞い、出口に向かって歩き始めると、水仙の花が咲いていた。その先には梅の花も咲いている・・・最後に少しにぎやかな早春を、通りすがりだけど、見ることができてほっとする。

 すっかり葉の落ちたどんぐりの生る木の、上の方の梢に小鳥が集まって止まっている。なにやら鳴き交わしている。いっせいに飛んで向こうの木に移動した。

 車のエンジンを掛ける。車のカーステレオ装置は、USBメモリーに入れた音楽を再生しているときには、エンジンをオフしたときに流れていた曲を記憶して、次にエンジンを掛けたときにはそこから再生するようになっていた・・・・筈なのだが、なにが起きたのか?半年くらい前から、エンジンを切るときにどの曲を再生していたかを記憶再生などせずに、いっつも必ずくるりのグッドモーニングから始まるようになってしまった。切るときにマイルス・デイビスを聴いていようが、ニール・ヤングを聴いていようが、次にエンジンを掛けるとくるり

♪夜行バスは新宿へ向かう 夜明けとともに灯りは消えてゆく・・・♪

と歌い始める。些細なこと。気にしない。