新入生歓迎の季節や晴れた観光シーズンの土日休日には、大勢の人がやってくる出町柳駅近くの鴨川デルタ。NHKのドキュメント72hでも取材されていた。くるりの「宿はなし」に♪飛び石のほら真ん中で 笑う顔なく顔 日も暮れた♪と歌われる(たぶんこの場所を歌った歌詞はほかにもたくさんあるだろう)。11月11日金曜日の午後1時過ぎ、鴨川デルタに遊ぶ人は少なく、ただ秋の意外に明るい陽射しが降り注いでいて、着ていたコートもカーディガンも脱いだわたしのTシャツの下の胸や背中には汗が流れていた。雨が降って、また晴れて、季節が冬に向かう。景色が乾いて見えるのは、ずっと長いこと雨が降っていないからではなく、芝生も冬枯れし、落葉樹の葉が色づいてたり落ちて、白っぽい黄土色などが支配的になったからだろう。乾いた風景、こういう小春日和の風景は、あっけらかんとぽかんと広く、どこも絶景でもなく、ただの殺風景で、それが良い。今現在の美をリアルで観たいのであれば(それならば今なら紅葉の名所へ行きなさい)ここはふさわしくないかもしれないが、もっと別のなにかをぼんやりと悲観的にはならずに考えるとき、暖かなこの日の光を心に閉じ込めてそれを道標にしてこれからを進もうと思うようなとき、こういう場所が必要なのかもしれない。鴨川デルタはそう機能もできるから、この場所は青春の、あるいは人生の、節目になる・・・
読みかけの本は「鴨川ランナー」。