ステーションワゴンの頃

 12年前の2月に鎌倉の七里ヶ浜にある有名な(?よくCMなどのロケ地になっている)海に面した駐車場で撮ってあった写真です。この写真を撮っている私の背中側にある七里ヶ浜の住宅地を造成するときに出た土砂を使って造られた駐車場のようです。

 両側に停まっている車が両方とも車種まではわかりませんが、ステーションワゴンのようですね。最近、ウェブの記事で、SUVに主流が移りステーションワゴンがほとんど絶滅危惧種になっていると書いてあるものを読みました。私の車もいまは小型のSUVです。でも、心のどこかにはステーションワゴンという形式に対する好意というのかな、そういう気持ちがあります。これは1980年代90年代にステーションワゴンが主流だった頃に自分自身が20代30代という車に対しての思いがあった年齢だったし、そのまえの10代20代に、車を持ちたいというのが社会のステータスになっていた時代で、私もその気分にしっかり染まっていたうえに、いよいよ車を買える上記の年齢にステーションワゴンが流行っていた、ということが大きいのでしょうね。

 あの頃は、いまより日本にはまだ欧米に対するあこがれというのか目指す像としての外国という意識が、良いか悪いかはさておき、あって、本当だったのか嘘だったのか、欧米ではステーションワゴンが一般化して使われている(だからわれわれももっとステーションワゴンに乗ろう、それがカッコいいんだよ)という記事もあった。あるいは、60年代から70年代に国鉄が仕掛けたディスカバージャパンという旅の商業化が、ずっと続いて、角川文庫の「ポケットの中の角川文庫」(文庫本をポケットに入れて旅に出よう)や、パイオニアのカーステレオの「ロンサムカーボーイ」は若者に一人旅(カーステレオを積んだ車でさすらおう)を促すことで自社製品を売ろうとしていたんじゃないか。

 そういう時代の、サブカルの、気分にいとも簡単に染まっていましたね、私は。だからステーションワゴンのワゴン室にアウトドアグッズを乗せて車で旅に出る、というのは、憧れであって滅多にそんなことは出来なかったけれど、それでもやってみたいことであり、だからすばるのレガシーステーションワゴンに乗っていた頃もありました。

 ところで先日、横須賀美術館で「日本の巨大ロボット群像」という展示を観ましたが、わたしはテレビアニメ版の鉄人28号をほんの小さいときに夢中で見ていたけれど、その後のマジンガーZガンダムもまったく興味を覚えず、ひとつも観たことがなかった。そういうことが今の車のデザインの好き嫌いにもそのまま反映しているってことありますかね?最近のトヨタやホンダのヒットしているSUVにはガンダムのデザインテイストを感じてしまうし、だけど上記のようにその漫画は見てこなかったこともあり、ガンダムのようなデザインの車をいいとは思えない。わたしが好きなデザインは初期の鉄人のような、というのはちょっと極端だけど、直線だけでなくアールも多用されたレトロチックな味わいがちょっとあるような車だったりするのかもしれません。