三軒茶屋をうろうろと 2


 昨晩帰宅して、家族の女性陣たち(って二人ですけど)に、三軒茶屋シネマという古い映画館で「花より男子ファイナル」をやっていたという話をしたら、女性陣は「もう一度見ておきたい!」と言い出した。
 そこで横浜某所のお寺にある義父のお墓にお墓参りに行き、そのあと、渋谷まで東横線で出てから半蔵門線新玉川線田園都市線?)で三軒茶屋へ。昨日うろうろしたおかげで道を覚えていたので、飲み屋街の細い路地を通って、女性陣を映画館まで案内する。
 私は映画は見ずに、映画の終わるまで時間をつぶさねばならない。
 永井宏のポエトリー・リーディング会や、先月は「さかな」のライブなどの会場にもなっていたRAIN ON THE ROOF というカフェが近くにあることを調べておいたので、そこに行ってみる。スピーカーのすぐ前に座り、珈琲を飲みながら、島尾敏雄の「続・日々の移ろい」を読み進む。流れている音楽は大抵はアコースティックギターの曲。ミッシェル・ポルナレフが歌っていた(私が中学生のころだ!)シェリーに口付け、がギターソロで流れていた。本の中で、島尾家では新聞配達の少年の悪さに悩まされている。あるいは畑の作物を食い荒らすかたつむりを取り除いている。1時間半ほどカフェで長居。
 そのあと、昨晩と同じように、EOS1N+EF28/1.8レンズ、フイルムは大日本印刷のセンチュリア200(安いから)で写真を撮り歩く。26階のビルの展望室にも上ってみる。世田谷線のホームから赤い車両が出て行くところも見る。映画館の同じビルの三階にあるバッティングセンターへ、螺旋階段を上がって行き、打っているひとを少し眺めたりもする。長崎ちゃんぽんの店を見つけ、こんど食べてみたいと思う。
 夜景は相当なスローシャッターになるが、1/2秒だろうが1/4秒だろうが、ときには1秒だろうが、どんどん切っていく。上の写真は、昨日の写真と同じような視点だけど、どこかのアパートの入口においてあった鉢植えです。横の柱に寄りかかって撮りました。1秒くらいのシャッター速度。重量のある一眼レフはちゃんと構えて、息をひそめてシャッターを押すと、あまりぶれない(などとあたりまえのことをあらためて思う)。

 夜の街に飲食店や本屋やパーマ屋から明かりが漏れ、そのなかに人が見え、こっちは暗い路地にいるけれどそこにも三々五々人々がいて、そういうときの安心感と人恋しさって、江戸時代とかもっと昔から、ずーっとそうなのに違いない。とか思っている。
 映画の終わる時間に映画館の前で待ち、映画館から出てきた女性陣を写真に撮ったら、
「あやしーぞ」
と言われる。

 夜、寝る前、内田百けん「短夜」を読む。出だしがいきなり「私は狐のばける所を見届けようと思って、うちを出た。」とくるから、なんというか・・・ぶっ飛ぶ。