決勝トーナメントへ


 日本3-1デンマーク
 木曜日24日は夜9時に寝て、金曜日25日の早朝3時に起きる。シャワーを浴びて、音量を小さくしたブラウン管テレビの前に一人で座り、じーっと画面を睨むようにして息をひそめつつ、アナログ放送のサッカーを観戦。こういう状況って確かに後から考えると「祈るように」という感じだったな、と思う。
 戦前に、ごく私的な勝手きわまる計算式に基づいて私が算出していた1次リーグ突破の可能性は40%(デンマーク戦に勝っての突破は10%、引き分けての突破が30%)だった。今日の試合に「勝ち」という結果が出て、結果が出てしまえばそれが全てで、確率が何%の中での勝利だったのか?なんて答えは誰も導けない。今日の内容からすれば、デンマークなら何回やっても負けない気がするが、ワールドカップ直前の日本の状態だとデンマークどころかそれよりずっと格下チームとだって何回やっても勝てない気がしていたわけで・・・。それでも強豪国というのはすぐに出来上がるものではないから、長期にわたって継続的に強い状況を作り出すということは難しいということは判るが、それでもそういう継続性は、短期の結果の積み重ねによる一つ一つのステップアップの先にあると考えるのが普通だろう。いや、もしかしたらそれも違っていて、あるとき突然強豪になったままずーっと強豪に居座った例もあるのかもしれない。なんて書き出すと何から何まで一つの定義で定められることなんかはなくて、それゆえせめて事前には確率数値をもてあそびたくなるのだろう。対戦する二つの国のその試合をしているその時点での実力差って、年単位の強さの平均値(例えばFIFAランキング的な定量化)なんかと比べると、ずっとずっと不安定に動いている中の一瞬で決まる上に、さらに偶然も左右するから、やってみないとわからない。・・・って、当たり前ですね。だからスポーツがあるのだし観客が熱狂するのだから。そして確かにときどき「奇跡」が起きるのだから。確か以前に岡田監督自身も「ワールドカップのような短期決戦では何が起こるかわからない」と言っていたように思うのだが、その通りであって、だからこそ「短期決戦ゆえに偶然(=運)も背景にしつつ、その一試合だけなら大いに番狂わせを起せる」ということを多分岡田監督は考えていて、あるいは、知っていて、だからベスト4を目指すと言ったのも、それが不可能ではないことも知った上だったのではないか。そしてそのために運を天に任せるなんてことではなくて、やるべきことが山積みで、それをある程度計画通りにこなしてきたという成果という見方ももちろん出来る。本番前の四連敗の結果をフィードバックするのは当然のことで、それが結構劇的に見える(たとえば俊輔をスタメンから外す)ので、結果が出たときにはサポーターには様々な思いが起きるし、成功は喝采を呼ぶがもし失敗していたらとんでもない罵声になっただろう。雨はいつか上がるもの、というセンチの歌の歌詞のように、四連敗したからこそ本番では結構回復するという気もしていたし、スタメンの大幅入れ替えはそれを予感させていた。・・・等々、結論のないざれごとをずらずらと書いたり考えていても仕方のないことですね。
 本田選手は得点シーンだけがクローズアップされるが、特にこの三戦目の本田の動きは試合を通じて献身的で、なんというのかな当たり前と思っていることのレベルの高さが中田並の選手がやっと出てきた感じ。
 反省すべきは、後半、カウンターで何度か手に入れた決定的にすべきチャンスを結構簡単に手放していたことだったのでは?
 それにしても日本の掌を返したような喜びようは、よく判るものの、ここまでで十分満足と思ってしまったら、強豪国にいたるステップを上がれない。せっかくここまで、偶然にも助けられて来たのだから、それゆえに、次は今まで以上によい試合をして勝って欲しい。日韓大会の仙台での試合のようなことにならないように、監督采配含めてベストの試合をして欲しい。ここまで来たら、良い試合をして欲しい、ではなくて、パラグアイには勝ってほしいな。なぜならそこを勝てば、スペインとポルトガルの勝者と試合が出来るわけで、それこそがステップを上がるということだと思うからです。
 でもこれがまた難しいんだよね。高校野球の9回裏を迎えた勝っているチームの投手みたいな「りきみ」って、ほんとコントロール出来ないものだもの。。。このまえテレビで、集中してある信号に対する行動を起そうと身構えて起した行動より、ぼーっとしつつその信号に応答する方が、大脳の表面にあるなんとかいう部分を使わない分、反応が早いという実験をやっていた。練習を重ねたゆえに出来る自然に、考えずに、出てきた動作が重要なのだろうか。
 でも、ことフリーキックに関して言えば、たぶん、日本の選手のことだから非公開練習で高地とこの独特のボールに対するキックの仕方を相当入念に繰り返し試行錯誤したのだろうな、と思ったりもして・・・・
 結局、やっぱり、結論のないざれごとをずらずらと書いたり考えていても仕方のないことですね。

 で、一つだけ書いておくと、私自身はこんな風に考えてばかりでサッカーを楽しんでいないのではないか?と思うかもしれないのだが、実は、こんなことを考え始める前の素直なところでは、勝利の瞬間とか、ネットで様々なニュースが流れるのを読みながら、ちょっと目が潤んだりしていたのでした。