インクが滲んだ写真


 今日から出勤日なのだが、たくさんある休暇を一日くっつけて、今日までが夏休み。でも、真っ昼間に娘を駅まで自家用車で送ったときなんかに、世の中が始動していて(昨日まではあまり見なかったサラリーマンが歩いていたり)せっかく休暇を取っているのに焦った気持ちになってしまう。情けないね、サラリーマンのさが。

 このブログをずーっと読んでいただいている方は、最近の岬たくは、本を売ったりなんやかや、部屋の整理をずっとやっているな、ということにもしかしたらお気づきかもしれぬ。
 その整理はのらりくらりとでも確実に進んでいて、昨日は、カメラ防湿庫に入っていた古くて壊れているジャンクフイルムカメラを何台か燃えないゴミに捨ててしまった。須田塾に通ってもう六年くらいになっていて、その間に須田先生に見てもらった写真の束も、先生が選んだ写真(多い日には4枚に、少ない日は10枚に1枚くらいか・・・)を除き、他の束は全部捨ててしまった。一時期の地ビールブームのころに飲んでは取っておいた空き瓶や空き缶なんか当然のごとく捨ててしまった。アナログレコードもCDで同じものを持っている盤は捨てるか売るかしてしまおうと、仕分けた。あ、レーザーディスクなんかまであって、それは全部捨てるか売るかしてしまおうとまとめた。それでも本の量はなかなか減らないな。写真展をするときに写真を上から抑えるために買ったアクリル板はその時々の展示内容によって様々な種類のものがあったが、一番多用している最初の個展のときに作ったもの以外は捨ててしまった。もう見ないだろうと決めて、VHSのテープなんかも捨てちゃった。
 昨日から燃えるゴミを六袋、燃えないゴミを三袋くらい出したと思う。

 大量に捨ててしまった写真だが、捨てる前にちらちらと見ていたら、プリンターメーカー純正ではない安い写真用紙に出力していた写真は、数年の放置ののちに、インクが周りに染み渡るのか、解像度は落ちるし、色の境界では色が混ざるし、でひどく劣化していた。純正紙の方は全然大丈夫だから、値差だけのことはあるなあ。
 だけども!その変色して劣化したインクジェットプリントがこれまた面白い。
 そこで、この片付け作業は、ゆるりゆるりと進めて良いので、とはいえ昨日は「飛ばした」んだけど、とにかく本来的にはゆるりで良いので、この劣化した写真の今の状態を接写したくなって、片付けを一時中断して写真を撮った。

 上の海を見る女性の後姿。これはほとんど劣化していない写真を接写したもの。なんでだか知らないけど、70年代のATG等の映画で出てくる海や、そこに行きついたさすらう若者たち、みたいな雰囲気を感じたのであります。撮ったときのことは何も覚えていないし、そんな気分で撮っているわけがない。ノスタルジーは鑑賞の時間に何かをきっかけにふと纏わり付くってことか。。。

 下の写真はインクが滲んで劣化した写真を接写しています。滲みのせいか、なんだかビルまで溶け出しそうな熱帯夜のように見えた。実際に撮ったのは冬だったかもしれないけど。画面の左すみに宇宙服を着た人みたいに見えるのは何だろう。なんかダーツの店に、これから、浮遊具を身につけた怪しい男が入りこもうとたくらんでいるみたいに見えた。よーく見ているとどうやら街灯の傘のようで、それが判ると興醒めなんだけどね。

 片付けをしながら音楽を流している。CDも持っているので、もう捨てるつもりだったレッド・ガーランドのグルーヴィのLPレコードを聞いてみたら、捨てるのが惜しくなった。

 そういえば数日まで滞在していた京都で、そこここで鳴いているセミはほとんどがクマゼミだったな。こちら茅ヶ崎はやはり主流はアブラだ。

 でも、夜になるとコオロギの声が増えています。


グルーヴィー

グルーヴィー

海と川の匂い (真夜中BOOKS)

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先日、買った本です。