冬の花火


 明日24日の仕事のために23日のうちに飛行機で移動したB市のホテルから、冬の花火がビルとビルの隙間に見えた。クリスマス恒例イベントとのこと。小雨決行。小さな折り畳み傘しか持っていないこともあり、会場まで出かける気になれないまま、8時になったら思っていたよりずっと大きく花火の破裂音が聞こえ始めた。部屋は和室をシングルで使用。布団を敷きに来た若者は、この部屋から花火は見えない、と言っていたが、こうして見ることができた。破裂した煙が流れずにその場所に留まるのが残念。フィナーレの連発花火は煙の中に隠れてほとんど見えなかった。会場から離れたところから花火を眺めていると、今の連発が最終の花火だったのかどうかがはっきりとは分からない。ああ、もう終わりだなと思ってもまた勢いよく続くこともある。しかし、いずれにせよ花火が終わったことがはっきりとわからない時間は、少し寂しいものだ。次の花火が上がらない、その時間が経つにつれて、諦めが増大していく。それでも少しまだ期待が残っている。諦めと期待の比率が徐々に変わっていく。
 同じような気持ちになることが他にもあるように思うが、具体的に浮かばない。

 ジャン・ポール・ベルモンドジャン・ギャバン共演の1966年制作の映画「冬の猿」を七年か八年前くらいだろうか、ニセアカシアの林さんに薦められたこともありDVDを買って観たことがあった。
 一人で風呂上りの浴衣姿で、ベランダから花火を見ながら、この映画のラストシーンとなる花火の場面を思い出した。「男」を描いた映画。

冬の猿 [DVD]

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