秋の夜には 02

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体感的に、日の入りがいちばん早いのは今頃で、日の出がいちばん遅いのは1月に入ってからで、太陽が出ている時間がいちばん短い冬至の日は、だからといって日の出がいちばん遅くて日の入りがいちばん早い日ではないのではないか?と感じていたので、ふとそれをちゃんと知りたくなって調べてみたら、案の定、その通りだった。日の入りがいちばん早いのは12月上旬で、日の出が遅いのは1月中旬とのことだった。

数日前、まだ暗い早朝に出勤のために、茅ヶ崎駅のホームへの階段を早足で降りているときに、頭の中で、どうしてこういうことになっているのかを考えた。東京のある北緯何度だかで切った地球は地軸から見て完全真円ではないってことかな、と思い当たったが、どうだろうか。でもそれはそうだろうな。完全な真円の方がよほど不気味だ。

茅ケ崎駅の海側の商店街を歩いていたら、オーダーメイドで靴を作っている店だろうか、それとも靴や鞄の修理の店だろうか。遅くまで作業をしている人の背中が明かりのなかにぽつんと見えている店があった。暗くなって、寒くなって、そういうときにこういう光景に出会うと、人恋しい気分になりますね。

遠いむかし。松山に行った夜、雨模様の夜、たくさんの人を載せた路面電車がカーヴを曲がって走って行くところを見たときに、光の箱に見えたことがあった。あそこには大勢の人の幸せと不幸せと、喚起と嘆息があって、でもそれを全部含めて世の中であって、あの光の箱のなかがいちばん居心地がいいのではないか、みたいなことを思った気がします。