夜の路地の先へ

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雨上がりの夜、初めての町を散歩する。住宅街のなか、一軒だけ赤ちょうちんをぶら下げた焼き鳥屋のある道の先は、緩やかな上り坂となって、川沿いにある神社を過ぎると、両側をコンクリートの護岸で固められた川を渡る橋に出た。車が一台かろうじて渡ることが出来るくらいの小さな短い橋だ。川沿いの道には、最寄りの私鉄の駅から自宅へと向かう人がときどき自転車で通り過ぎる。橋の向こうにはトタンの壁で囲われた町工場があった。なにを製造している工場なのかは判らない。なにかの匂いがする。原料か製品の匂いだろうか。この写真を撮って、もっとカメラを上に向けて煙突のてっぺんまで入るようにしてもう一枚か二枚、写真を撮って、引き返した。

さっき通った神社のそばの不燃ごみ置き場には柱時計が捨てられていた。10:43まであと30秒のところで停まった長針の時計。

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