私鉄沿線

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JR代々木駅近くの病院にがん検診に行く。まだ麻酔から起きたばかりで若干ふらふらする身体で、小田急線の線路を軸に、行ったり来たり、離れたりくっついたり、渡ったり渡り返したりしながら、代々木上原駅まで歩いてみる。駅近くにある古本屋で小説を二冊購入。良い感じの古本屋だった。

ところで全身麻酔という単語の定義ってなんなんだろう?会社指定のがん検診の診療機関はたくさんあるけれど、胃カメラ検査が楽ちんだという理由で、ここ十年くらいのうち九回はこの代々木の病院を選んできた。検査が始まるときすでにキャスター付き検査台に横になり、言われるがままに少し足を折り曲げて横向きになっていて、看護婦がその姿勢の微修正したり右の手の指に脈を計測するクリップ状のセンサーを挟み、口にマウスピースを咥える、その間、検査をする医師はこちらに背中を向けて椅子に座りながらPCモニターに向かってたぶん私の何年もの検査結果をチェックしている。看護婦が右の上に注射をする。これはほかの検査のための血液採取であると同時に、ここで眠くなるなにかが注入されるのかな?やがて医師が立ち上がってこちらに歩いてくるが(数歩)顔を動かして見上げて、その顔を見ることはもうできない。その後、たぶん数秒のうちにもう意識がなくなった。近づいてくる医師の白衣の腹のあたりの皺というか影というかそれが最後の記憶になってしまう。これがもう毎年のことで、この先まで覚えていることは一度もなかった。でもこれは全身麻酔ではない、ということが待合室にわざわざ張り紙されていた。そして、なんとなくぼんやりしているものの検査中の状況を覚えている人もいると聞く。するとなんとなくそういう覚えている人に対して、私は「負けている」感じがしてしまう。でもやっぱり駄目だった・・・次に起きるのは検査してから一時間くらいあとのことなのだ。

それでなんとなく敗北感を感じる。これは(笑)って感じですね。

 

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