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小学生の頃の夏休みには、毎日お昼寝することという決まりがあり、それは低学年だけのことだったろうけれど、例えば午後1時~3時とかが「推奨」されていて、律儀に守らなければいけないと思っていたので、珍しい蝉(珍しくないのはアブラとニイニイ)がそのときに庭の木に止まって鳴いていても、網を持って外に出るわけにも行かず悔しい思いをした。昼寝をしなさい、と言われても、そう簡単に眠りに落ちることも出来ず、ただふとんの上に仰向けになって眠れないまま天井を睨んでいた。天井には木目が見えて、その木目の筋を地図の道路だと決めて、道路を進み街を夢想して旅行や冒険を夢見た。名もない低い丘陵地帯のこんな場所を飛行機から見下ろすと、これはくしゃくしゃに皺がよった紙のように、地球の陸地がくしゃくしゃに何度も引っ張られたり寄せられたり突き上げられたりしたんだろうな、と思う。この地形はいままさに変わらずここにあるようで、ずっと変わってきてここにあり、もはや新品ではないことの結果の神々しさなのだろう。などとちょっと飛行機に乗っただけで考えてしまうのだった。そしてこの丘陵地帯にも道が(たぶん)あって、しわくしゃの形に添ってどこかへ通じている。そんなことを思っていたら、上記の天井の木目の道筋を思い出したってことです。

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