波間に揺れる

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 これは何年か前の三月に大磯の港で撮ってあった写真です。水面にゆらゆら揺れる光を見るのは好きです。水鏡の風景を追っかける方もいるようですが、たまたま出会った風景がそうであればきれいだなあと思ってそれも撮るだろう、けれど、揺らぐ光を見ていた方が、そこは揺らいでいるのに心はやすらぐ。揺らぐとは動いていることで、それを見ることで、なにも固定されず、トンネルの先に出口が見える、そういう勇気や決意ではなく、もっとささやかなようでいてへこたれないようなことを思うのではないか。そんなことを思ったらこの写真を拾い出していました。

 名古屋のバンド、センチメンタル・シティ・ロマンスがデビューしてCBSソニーとかキティレコードだったかしら、3枚目か4枚目のLPを出す頃に、名古屋に住んでいた。ギターの中野督夫さんは少し前に他界したようで。あの粘りつくようでいて、70年代のウエストコーストロックが持っていた明るさも同時に持ったギターソロはもう聞けないな。シティ・マジックというアルバムが好きで、とくに一曲目のハイウェイ・ソングと、雨はいつか。雨はいつか、は今風の応援ソングのようにベタに「応援」されないけれど、そっと肩に手を置いて「大丈夫」って言ってくれるようだった。

♪ 雨はいつか上がるもの 雲やいつか切れるもの

くよくよしないで歩くのさ ♪

国ではなくもっと大きく地球世界のことも、自分個人の小さな小さな世界のことも、いつもなにからなにまでうまく行くわけでもなく、なにからなにまでどこかに自分勝手で後悔を伴うことだろうけれど、それがわかるならば、今からまわりや誰かを慮り、これからの先をよりよい世界によりよい自分になるべく歩きたい。