車窓の会社

 東海道線(東京-熱海)区間横浜駅から戸塚駅の間だっただろうか、進行方向左側に座って外を見ていると株式会社タツノの工場かな?が見える。以前から好きな建物です。とくに上の建物は・・・これ夜景を車窓からコンデジで、TV優先1/15秒で撮っていますが、ダメですね、ぶれました・・・建物は、そのデザインが何となくの印象で具体的な根拠はないのだけれど1960年代頃の「感じ」が漂っていて、かっこよいのです。ガソリンスタンドの計量器等々で大手の会社らしい。

 昨日のブログで自分の写真の撮り口に、自分の中で起きる流行のようなことがあった。最近はない。ということを書きましたが。この車窓写真は、撮影場所を確保するための座席代と考えることにして有料のグリーン車の二階席を確保し、そこから撮る。だけど1/15秒だとぶれぶれですね。これを1/30秒とか1/60秒にすればもっと像が安定して止まるのかもしれないが。でも夜の車窓に次々と現れる沿線風景が、現れてはすぐに消えて行く、その一瞬に垣間見ただけですぐに見えなくなる、消えてしまう、そういう一期一会が成立しかけて、でも会えずに、一瞬のすれ違いで、もうその後はひたすら遠ざかる、そのような残酷な悲しさを感じさせる写真とは、ブレずにビシッと決まった写真ではなく、こういう不安定で流れている像なのではないか・・・などと言い訳じみた・・・。

 昨日のブログに写真をずっと撮って来た何十年のあいだに、自分で写真撮影の場所とか時間とか撮り方の手法に、ある流行というのか、そのやり方に夢中になってそればかりで撮る(または作品を作る)ことをやってきた話を書いたけれど、こうして車窓から写真を撮ることも、まぁ長く続けている一つのやり方のようです。

 今日は寒い日でした。昨日は雨で今日は晴れたけれど肌寒い。寒いことと、繰り返しますが、夜の車窓では一瞬一瞬見えた建物や踏切やその風景に含まれている点景の人が、どんどん後ろに飛び去って行き、周りは闇のなかにあり、もう二度と会えない気がするような、飛び去った瞬間にはそんなおセンチな気分も立ち上がる。おセンチな気分というのは、人恋しいというのか、孤独にいて嫌じゃないけど、そこから孤独ではない状況に憧れている、そんな心の状態にあるのではないかしら。