学生時代の焼き肉

 大学四年、研究室の同期の仲間と院生の先輩、8人か9人で、研究室対抗の駅伝大会に備えて冬の夕方に毎日3キロくらいのコースを皆で走ったり、ソフトボール大会に備えて初夏の昼にグラウンドに集まったり・・・卒論のための実験準備や実験測定そしてレポートを書くことももちろんしていたけれど、そういう記憶の方がずっと残っている。冬は日暮れ前後にそのジョギングをして、それから学食でなにか食べ終えて17:30頃になり、そこから23:00頃まで、卒論の作業をしていた。ときどき、焼き肉食べ放題に行こうと誰かが言い出す。そういう日には、なかには胃薬キャベジンの錠剤を持ってきて、満腹になってから錠剤を飲み、さらに食べ放題の肉を身体に詰め込む同期もいたな。食べ放題なんだからじっくりゆっくり楽しめばいいのに、それっ!とばかり網の上を肉だらけにして、取り合いのようになって、ときには半生肉を食べてお腹を壊す奴も出てきた。理科系の機械学科だったから、70年代、学科に女子はひとりもいなかったんじゃないかな。研究室の助手や講師や助教授の方の木製ロッカーの上にはガットギターが置かれていて、同期のN君は一つ覚えの、だけどそれだけは上手だった「エデンの東」のテーマを爪弾いていた。実験室の片隅には写真暗室があって、土曜日曜にはどうせ誰も使っていないからと、本来はレポートに貼り付ける実験関連の写真を引き伸ばすためにあるその暗室を使って、趣味の写真を引き伸ばした。水洗を終えたプリントを並べて乾かす場所も時間もなくて、濡れた写真を乾かぬうちに下宿の部屋まで持ち帰っていたのだが、学校から下宿まで徒歩と地下鉄と徒歩で45分くらいは掛かったから、どうやって乾かないように持って帰ったのか、思い出せないし、謎だ。
 以上、写真に写っていた焼き肉屋の看板を見たので、ずるずると思い出したことでした。70年代後半の学生生活。