もうすぐ

 もうすぐ日が暮れる。ちょっと変わった雲が冬の畑の向こうに見えた。日が暮れてしまうと気温が下がり、寒い冬の夜がやってくる。だけど、もうすぐ、はそればかりではない。梅が咲き始めた。ラジオでは一足早くマンサクが咲いたと伝えていた。そして、桜の蕾を見て、だいぶ膨らみましたね、もうひと月半もすれば桜が咲きますね、と人が言う。昨日そう言った人と、今日そう言った人は別の人だ。だから、そろそろ多くの人が、桜まであとひと月半だと思うのが、この2月の上旬中旬のことなのだ。人が桜の開花を指折り数え始める2月。そして、それは、もうすぐ春になる、という兆しだ。

 それまでにいくつかのことが解決することを願います。世界や国が抱えている大きな懸念よりも、今夜は、ひとりひとりが抱えている(客観的には)小さな複数の悩み、本人にとっては世界や国にまつわる懸念よりも現実的に直近の大きな、固結びのように固くほぐれず、いつまでも解決しそうもないことが、それでもいつかはほどけていくと励ましたい。その一つ一つをほぐす行為を重ねて行けば、実は世界や国が抱えていることもほどけるかもしれない、などと楽観主義者は夢想した。