追いかけてヨコハマ

 横浜と言っても広く、人が集まるのは、横浜駅周辺か、桜木町からみなとみらいの新しい観光地か、同じ桜木町から野毛や福富町や日ノ出町伊勢佐木町に広がる昭和の町並みか、元町ショッピングか、尾根道づたいに港の見せる丘公園に続く西洋館や女子大学のある通りか、はたまた中華街もあれば、氷川丸が係留されている山下公園、さらに下って本牧方面へ・・・と。そして、ここに挙げなかった観光スポットや繁華街ではない私鉄沿線の、すなわち東横線京急線JR横浜線田園都市線相鉄線横浜市営地下鉄沿線のベッドタウンを挙げればきりがない。そんな横浜でも最近私がカメラを持って向かうのは、横浜駅周辺か上記の「昭和の町並み」と書いたあたりが多くなっている。まぁこんなのは「なんとなく」の話だから、書いた途端に休日の散歩で向かう場所が変わるかもしれない。

 上の写真は福富町の通り。本当は甘えん坊なところもあるけれどそんなことは見せず、流行の先端で一喜一憂せず、生きていくことの責任を自覚していて依存せず、いつも警戒しているようで人見知りに見えるが優しく、プライドを守ることにおいては敏感でか強靭で、むかしながらの礼儀を知っていて、自由を貴ぶ・・・だからスナップ、すなわち「盗み撮り」のような行為をするのはちょっと怖い、大人の町って感じがする。歩いていて緊張してヒリヒリする。だけど、60年代頃のいい感じに傷んだ高くても5階くらいの防火帯ビルを兼ねた古いビルが、媚びもせずに並んでいるのを見ると、かっこいいなぁと思う。

 この感じを歌った曲ってあるのかな?とちょっと調べた。ゆずの「桜木町」はみなとみらい方面を歌っているらしいから、だいぶ違う。古すぎだけど(笑)ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」はいなくなった女の子を男が探して横浜や横須賀を訪ね歩く歌だった。そして中島みゆきが作詞作曲している桜田淳子が歌った「追いかけてヨコハマ」は、まるで「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」のアンサーソングのように、今度はいなくなった男を女が探す。横浜は(上記ベッドタウンを除いて)港があり、旅人や短い期間だけ滞在する人も多く、総じて人が留まらないという印象(実際?)があるから、訪ね歩いてももうヨーコも誰もいなくなっている(というイメージなのか)。

 ♪追いかけてヨコハマ あのひとが逃げる 残したすてゼリフに誰か見覚えありませんか 追いかけてヨコハマ あのひとがいつも この街をほめたことだけが うらぎりのてがかりです♪