横浜駅のユリカモメ

 先日、フイルムの一眼レフカメラを首からぶら下げて横浜駅付近を歩いているときに、駅近くの運河の護岸にこうして鴎がとまっているのを見つけた。都会のビルが建て込んでいる場所にいると、海が近いことなど忘れてしまいがちだけれど、横浜駅はこの写真とは駅をはさんで反対の方向には横浜港を横切って走るシーバス(という駅と山下公園のあいだを行ったり来たりしている船の)乗り場もあり、どこからが埋め立て地に作られた町なのかはわからないが、海は近いということだ。そう言えば京都の三条の鴨川でも鴎が群れているのを見たことがある。さすがに京都の三条が海に近いとは言えそうもないから、鴎という鳥はけっこう内陸まで行動範囲を持っているってことなのかな。

 フイルムカメラを持って出かけると、向かう場所が横浜の、それも一番新しいぴかぴかの街区ではない、それこそフイルムカメラが使われていた頃からあまり変わっていないこういう場所を無意識に選びがちなようだ。機械によって町との親和性が変わり、機械によってこちらの行動が制御されているということなのかな、これは面白い気付きです。いやいや、そういうことではなくて、最新のデジタルカメラなら撮れる高精細な風景写真や「なんちゃってニューカラー」はフイルムでは撮れない、そういう認識があるから、自然と「(デジタルと比較すると)不自由なフイルムカメラ」でもデジタルに負けない写真、むしろフイルムのらしさが貢献する写真が撮れそうな場所を選んでいるってことかもしれない。

 レンズを付け替えたり、マニュアルフォーカスでピントをさぐっているうちに、数枚撮ったところで鴎は一斉に飛び立ち逃げて行きました。鴎と言えば、チック・コリアとリターン・トゥ・フォーエバーのジャケット写真、かもめのジョナサン という小説、日本のヒット曲では渡辺真知子の「かもめが飛んだ日」、研ナオコの「かもめはかもめ」、なんかが浮かぶのは私の世代であって、その前の世代にもその後の世代にも、いろんな鴎がキーワードで飛んでいるんだろう。最近の坂道で夜遊びしている男爵さんたちも鴎を歌っているのかしら?

 ちょっと調べてみるとこの写真はユリカモメで内陸まで飛来すると書いてありました。