野菜における栄枯盛衰

 突然ですが(笑)グリーンピースとパセリとウズラの卵はむかしの方が出会うことが多かったように感じる。一方、ブロッコリーとマイタケとカイワレ大根は、むかしは出会わなかった。

 ブロッコリーが出回り始める前にカリフラワーは一般化していたから、形が似ていて色が違う別物が現れたと思った。カイワレ大根は、1980年頃に出張した福島市の、先輩が連れて行ってくれた寿司屋で、最近こんなものが出はじめたんですよ、と軍艦の上にカイワレ大根が載った巻物が出されて、わー!本当に大根の味だ!と驚いたものだ。マイタケがいつ一般化してきたか、そういう具体的な思い出はないけれど、茸と言えば椎茸のみが君臨していたところに、シメジとマッシュルームが現れ、ついでマイタケが一般化し、そのうちにエリンギも出回ってきた、という順番だったんじゃないかな?ウズラの卵は本当に登場機会が減ったのかどうか?ちょっとわからない。いまは中華丼の中にときどき入っていたり、串揚げメニューで出会うけれど、以前からそうだったのかもしれない。私の母がうずらの卵使用率が高かったという個人的理由で減ったと感じるだけかもしれない。

 グリーンピースは好きだったけれど、小中学校時代に友だちの中でグリーンピースが嫌いだという人の確率はけっこう高かった。好き嫌いのネタに上がるくらいだから、そもそも今より登場回数は高かったんじゃないか?だけど、定番でグリーンピースが使われていたのがどの料理だったのか、肝心のそこのところをよく覚えていない。中華丼や天津丼には使われる確率が高そうだけれど、子供が好きだ嫌いだと話題にするほどよく食べられていたメニューじゃないから、グリーンピース好き嫌い論争の発端はやっぱり焼売だったのか?パセリは料理の色添えとして、非常な高頻度で現れていて、その割には消費されずに下げられる確率がとても高かった。そのうちに、そういうパセリは「使いまわされている疑惑」もあり、そのせいでますます食べられずに残されたんじゃないだろうか?微妙な苦味が好きだけど。クレソンやらなにやらハーブ系が現れて駆逐されつつあるんじゃないか。グリーンアスパラもなかったなぁ。缶詰になったホワイトアスパラがアスパラの全てだったから、全てではないんですよ!とグリーンアスパラが現れて驚いた。

 王道野菜だけれどピーマンも登場回数が減っている気がしないでもない。昭和のナポリタンには必ず入っていて欲しいです。私の父は1927年生まれだった。昭和40年代の頃に、だから父が30代後半から40代の頃に「子供の頃にはハンバーグなんて料理はなかったから、はじめて食べたときは美味しくてびっくりした」と言っていた。こんな風に書くと料理においても野菜においても栄枯盛衰の経過を辿るものがあるんじゃないか?さすがにキャベツとジャガイモと大根はそんな経過を辿ることもないのだろうが、前述のピーマンやニンジンあたりは危うい面もありそうだ。そういえば、おにぎりの定番の具だった梅干しがいまではおにぎり屋の上位から転落しているとニュースで聞いたことがありますね。

 写真は横浜駅近くをフイルムカメラを首から下げてうろうろしていたときのもの。だけど、行ったことのある地域のほんのちょっと先の「ちょっと先であってもはじめて歩いた場所」だ。遠くへ行かなくても、知らない町であれば、ちょっと旅をする気分になれる。白い歩行者用の運河をまたぐ橋が、龍のようだと思ったりできる。(←注 当初は「白い人専用の運河をまたぐ橋」と書いていましたが、ブックコメ指摘を受けて、「白い歩行者用の運河をまたぐ橋」にしましたが、それでも曖昧ですね。日本語は難しい。「歩行者専用の運河をまたぐ白い橋」とすべきでしたね。) 

 追伸。この文章を書いたあとに調べたら、大根の年間消費は徐々に減ってるデータを見掛けました。ホントかな?