天津丼から思い出すこと

 いつぞやどこかで昼に食べた天津丼。写真を眺めても、どこの店だったかわからなかった。

 大学生のころに間借りをしていたS家から坂道を上って下りて、およそ5分歩くと、片側二車線の国道沿いに中華料理店があった。今で言う街中華(町中華かな?)で、カウンター席の横に週刊の漫画雑誌が積まれ、14インチくらいのブラウン管テレビが天井の角に作られた三角形のテレビ台に置かれ、シーズン中であればプロ野球が映っていた。だけどその店の名前を忘れてしまった。1970年代後半のことだ。いま、グーグルマップでその店があった場所を見てみたが、もうその店もその近くにあった小さなスーパーマーケットもなくなっている。写真の天津丼にはグリーンピースがないが、その店のよく頼んだ天津丼にはグリーンピースがあったと思う。亡くなった松本零士さんの連載を天津丼と、ときには餃子を付ける、それが出て来るまでのあいだによく読んだものだった。

 店の名前を忘れてしまったと書いたけれど、このブログを十五年?も続けているから、ブログ内検索をすると同じ話をいつの日かやはり書いていて、そこにはちゃんとそのときはまだ覚えていた店名が書かれているかもしれない。

 たまには炒飯や中華丼を頼んだかもしれないが、たいていは天津丼を食べていた。とろみの味付けがきっと私の嗜好にぴったりだったんだろう。

 中華の店を出て国道沿いに少し進むと小さな書店があった。青少年向けの雑誌、プレイボーイとか平凡パンチとかGOROなんていうのを立ち読みして、ときには(大抵はグラビアに取り上げられている女性写真に魅了されるかどうか?によって)買って帰った。あるいは片岡義男の小説が読みたくて文芸誌野生時代を買ったり、そうそうだいたいいつも買っていたのはビックリハウスと宝島だった。文庫では五木寛之、その後角川の推していた横溝正史もたくさん読んでいた。宝島のSF小説特集だったのか?読むべきSFという特集を読んで、ハインラインやらクラークやブラッドベリを読んで、その後、ブラッドベリの本は手に入る限りを読みつくしたものだ。

 このまえコンビニで天津丼を買ってきて食べたけれど、味が薄くて、酢とケチャップと少量のソースを足してみたら美味しくなった。