旅行のはじまりの搭乗口

 手荷物検査を抜けて、搭乗する飛行機の搭乗口が6番と確認して、長い動く歩道に乗っかって行く。搭乗口で搭乗案内を待ちながら、大きなガラス窓の向こうに見える飛行場を眺めるのが好きなので、二時間も早く行くこともある。窓の向こうに離陸していく飛行機や着陸してくる飛行機が見える。飛行機は写真に写った現実の大きさよりも、私の頭ではもっともっと大きく見える。少し居眠りもする。本も読み進める。また窓を見て、そうだ飛んでいく飛行機を写真に撮ってみようと思い立った。そう思って飛行機を意識的に待ちはじめると、なかなか飛行機が横切らない。それでもこうしてその瞬間がやって来たから、写真を撮っておいた。これ、カラー写真ですよ(笑)

 さて、そろそろ搭乗案内があってもおかしくないのだが・・・・遅いな・・・と気が付いて、あらためてこの搭乗口から飛び立つ飛行機の情報を見たら搭乗予定の飛行機の名前が消えている。二時間も前に来てしまったからかえってその変更に気が付かなかった(メールが来ていたが、そんなに頻繁にメールなんか見ない)。いまや6番ではなく私の乗る飛行機の搭乗口は88番に変わっているではないか。

 それで数百メートルを速足で歩いて、ことなきを得たが、慌ててしまった。88番はバスで飛行機まで行く飛行場の中では「場末」の搭乗口だった。バスが着くと、乗客は地上に降り立ち飛行機にはタラップの階段を上る。このむかしながらの搭乗の感じが悪くない。旅行のはじまりとして悪くない。