カメラが決めてくれた蓮の写真

 マクロレンズを装着して、ミラーレスデジタルカメラのエレクトリックビューファインダー(EVF)を覗きながら、ぐーっと蓮の花に接近すると、薄い被写界深度のなか、それでも頑張ってピントを合わせようと、カメラとレンズは四苦八苦する。それでも所望のピントが来ないときはマニュアルフォーカスに切り替えて自分の合わせたいところにピントをだいたい合わせてから、オートフォーカスに戻してピントを正確に取り直したり、マニュアルフォーカスのまんま連写にして、薄い被写界深度でも身体の前後のゆらぎでピントを外すことを数打てば当たる方式で回避する。ところが、ときどき、四苦八苦したカメラが「これでどうかな?」と出してきた案が面白い感じがして、これで撮ってみようと思うこともあるから、なんとなくカメラと相談している感じになる。きっと写真の前ボケで被っている白っぽいところが最初に撮りたかった花びらだったんじゃないだろうか。その向こうにある葉の縁にカメラはピントを合わせた。花の写真を撮ろうと夢中になっている私を含めたおじさんたちがいっぱいいる中で、カメラとレンズがちょっと違う冷静な案を提示してくれる気がする。マクロでぐーっと接近しているときにそんな感じになることが多いですね。

 人は花をめでるけれど、もし植物に視力があり思考や意識があったら(すでにあったりして・・・)お互いのどこを見て、憧れたり、好きになったり、真似をしたいと思うのでしょう?