吉田橋交番

 数週間前だったかな、JR東日本京浜東北線関内駅横浜スタジアム伊勢佐木町の最寄駅。その近くの横断歩道を歩いていたら、何故だか車が遠くにしか見えず、Y字路の突先にキューブ形の可愛らしい交番・・・KOBANと書いてあるのが可愛らしさの理由なんだろうな・・・が見えた。だけど、その日に撮った写真を見直したときには、ぜんぜん撮る人ではなく選ぶ人になった私の気持ちには引っ掛からず、埋もれていたが、今日になり、写真を見直していたら、今度はこれが引っ掛かって来た。このブログにも何度も書いたけど、写真を撮ったときになぜそこを撮ったのかという理由、これはもしかすると言葉以前のその日の気分と撮影者の価値観というのか好みに基づくあるときは衝動的な行動であるけれど、選ぶときにはなんだかその衝動をすっかり引っ込めてしまって既存のいい写真とされるルールに基づいてしまう気がする。そしてその縛られているルールが、これまたあやふやなものなんだろう。だからこうしてある日と別の日とまた別の日で選ぶ写真が違ってくる。とにかく今日のわたしの気分はこれがいいと思ったわけです。

 この交番はCUBE食パンが二つ上下に重なっているみたい。一辺が6cmくらいの立方体のすなわちCUBEと呼ばれている薄茶色の食パンがガラスの小さな丸い皿に少しだけ垂らしてある黄金色のオリーブオイルとともに供される。前菜のあと、メインディッシュの前、サラダの頃。パンはほのかに暖かく、それが置かれたときに、若い給仕は栗が練り込まれていますと言い添えた。パンを手に取りちぎり、オリーブオイルを片隅に少しだけ付けて口に入れる。甘くもっちりとした食感が、冬の日の温室のようだ。ほら、温室の床には猫が寝ていて、日の当たる南側に置かれた木製のテーブルには、小さな多肉植物が並んでおかれている。蒸し暑い梅雨の日に、冬の温室を思い出させるなんて、なんてこった・・・栗だって?ほのかに甘い、はるか遠きに消えかかった汽船のような味。雲がね、羽衣のようなんです、今朝の5時にふと見上げた空で。その羽衣の時間はほんの30秒くらいで、あとはもういつもの雲でした。そんな朝から13時間経って、冬の温室を思い出させるパンを食べている。一辺が6cm・・それは6×6(ろくろく)の中版フイルムと同じサイズだと気づく。もう一回パンをちぎって口に入れながら、6枚のろくろくの写真を使ってCUBEを作った人がいただろうか?と思う。冬の温室の写真を使った写真のCUBE。それを転がすと何が出るだろうか?

 おやおや、またわけのわからない妄想をしている・・・(笑)