インマイライフ

 路面にある服の店のショウウインドウを男たちが立ち止まって見ている。たまたまの瞬間で、いつもいつもきれいにこうやって並んで見ている人がいるわけではないけれど、道路を走る車の音が聞こえ、アーケードの屋根に当たる雨の音もして、そんななか目的の買い物、それはコンビニに行って缶チューハイやビールを買ってくることかもしれない、そういう買い物の帰り道にちょっと立ち止まる。今日はたまたまこの道を帰り道に選んだから、誰かが見ていたので、つられて立ち止まったという人もいるかもしれない。写真を撮ったあとに私自身もショウウインドウを見たら、ビートルズの四人が写っている写真を使ったTシャツが目に入って来た。

 二週間くらい前だったかな、早朝、通勤のために自家用車を運転していたらNHKラジオ第一からビートルズのイン・マイ・ライフが流れて来た。間奏のバロック音楽風で、チェンバロなのかピアノなのか?で弾かれるメロディを、一緒に口ずさむ。若い頃に聴いた曲はメロディを間奏や前奏まで覚えているものだ。最近の曲なんて20回聴いたって歌詞すら覚えられないぞ(笑)

 イン・マイ・ライフの歌詞の前半。いろんな場所に友だちや恋人との思い出がある、そういう場所は今も残っていれば無くなっちゃったところもあるし、変わったところも変わってないところも、でもね、そんな思い出はさておいてさ、いまはもう君のことが・・・・と言う感じで後半のラブ・ソングへと。

 路面にある服の店は、変わらずここにあって、私にとっては日常の範囲内ではないから通過者の視線だけれど、ここに写っている男の中には若い頃ここで買ったシャツの思い出がある人もいるかもしれない。

 そんなのダサいに決まっている、と思うが、自分の写真でTシャツでも作ってみようかな、とときどき思う。