センチメンタル・シティ・ロマンスの「8月」という曲

 コロナ後はじめて自家用車を運転して葉山の美術館まで片道50分、なにごともなく運転でき、開催中の「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展を観てきました。同時開催のコレクション展加納光於「色、光、そのはためくものの」も素晴らしかった。

 美術館の駐車場に9:12に到着したその瞬間からゲリラ豪雨に。オープンの9:30まで自家用車内で雨宿り、少し小降りになった9:25に急いで館内へ、9:30のチケット販売は本日最初の客になりました。美術館の庭から見える海水浴場の向こうの相模湾と雲が上の写真です。台風のもたらしている目まぐるしく変わる荒天なのでしょうが、とても巨大で迫力のある雲がきれいでした。一通り展示を見てから庭に出てこの写真を撮り、そして、レストランでちょっと贅沢なランチを食べ(めばるのグリルをメインにしたコース)もう一回、気になった展示を再度鑑賞し、車に戻ってドアをバタンと閉めたその途端にまたゲリラ豪雨のばかでかい雨粒が降り注ぎ始めました。これは、雨男というべきなのか、ぎり濡れずに済んでいるので、今日のところはそうでもなかったのか?

 車のなかでむかし2011年に買ったけれどろくに聴いていなかった、その時点で結成38年目だったロックバンド「センチメンタルシティロマンス」の「やっとかめ」というアルバムを流していました。わたしは大学時代に名古屋にいて、名古屋が地元のセンチ(センチメンタルシティロマンスの愛称)のライブは何度か聴きに行ったし・・・例えば竹内まりやデビューツアーは一部がまりやさんのファーストアルバムから数曲が演奏され第二部はセンチのステージだった・・・3枚目かな、アルバム「シティ・マジック」は日本のロック史に記憶されるべき名盤だと思ってます。中心メンバーだった中野さんが亡くなってしまったのは数年前でしょうか。聴いていたら9曲目にスタジオミューシャンとして、あるいはギター奏者としてビートルズの曲を演奏していることでも著名な告井さんの作になる「8月」というバラッドになりました。最初はあぁなんかスローで静かな曲だなあ・・・と思って聞き流す感じでした。小室等のプロテスト・ソングみたいな感じがちょっとするな、とも思いました。そして「黒い涙の雨」という歌詞がひっかかり、じっくりと聞き直してみました。

♪ 8月のはじめの 高い空の上で 日差しよりもずっと強く 何かが光った ♪

♪ 小さな命が消えてゆき 大きな悲しみの 風が吹く そこには黒い涙の雨が降る ♪

♪ 語り続けるから 無駄にはしないから あなたがここに 居た事 ♪

こんなこと書くとたいへん失礼だけれど、70年代80年代のセンチの曲は、和製に解釈され、ある完成粋に達したウエストコースト・ロックで、その演奏が卓越していて、歌詞は旅の歌か、恋の歌が、やはり多かったですよ。雨はいつか、なんていうちょっとぐっとくる曲もあるけれど。だけど2011年に61歳だった告井さんが、この詩を書いて素晴らしいメロディを付けて、そんなにヒットなんかしない往年のコアなファンしか買わなかっただろうアルバムとはいえ、たぶんここで歌っておかなくてどうするという強い気持ちがあったんじゃないか、と思います、曲として残していることに感動しました。そして、たまたま今日、そんな曲があることなど知らずにこのCDを聴いたんですよ。今日は、広島の原爆記念日、その日に。すごい偶然・・・ですよね?

 帰宅してつけたBSで、ウクライナの戦争について、長崎の原爆投下について、連続して四本くらいドキュメント番組を観ました。

 注)記念という意味は、なにかをメモリーするということで、祝うというニュアンスはないとのこと。最近、原爆記念日という言い方に違和感を感じる方も多いようですが、ここでは辞書にもそう載っている通り原爆記念日を採用しました。