抽象絵画の覚醒

 猛暑の日が続いていた先週末に八重洲のアーティゾン美術館に「抽象絵画その覚醒と展開」という展示を観に行きました。どうも真夏の休日には涼しい美術館や映画館に行くしかないですね、それでも道中は暑いんだけど・・・というわけでここのところの美術館訪問頻度が高いです。

 展示のなかにバウハウスを取り上げたコーナーと実験工房を取り上げたコーナーがありました。どうもこういう芸術の革新を目指した学校とかグループの活動には興味を持ってしまう。といって詳しくその歴史を学んだわけでもないのですが。それでこの展示物は撮影禁止ではなかったので、バウハウスの本を撮って来ました。なんか、若い人たちが集まって革新を目指して新しいことに取り組んだ、取り組もうとした、その物語だけで惹かれちゃうのでしょう。

 当時の最先端の建築と芸術の学校だったバウハウスは1919年に設立し、この本にも書かれているように23年までワイマール市にあり、その後移転して存続していましたが、ナチスにより1932年に廃校に追い込まれています。

 実験工房は、それより20年後の戦後、瀧口修造のもと若手芸術家14人により1951年に結成され57年まで活動した日本の前衛芸術活動。その展示コーナーが下の写真。

 昨日のブログにも書いた清春芸術村の設立時1981年には小林秀雄や白州正子も若手芸術家を輩出する夢を描いて賛同したようですが、今もそういう活動は続いているのかまではわかりません。

 革新は個がもたらすもので集合した時点ですでに革新性が減算されるといった考えもありそうだけれど、同じ夢と野望を抱いて短い期間でも集まって刺激をしあうことが、相乗効果を産むこともあり、いや、多々あり、それはやっぱりありふれたダサい言葉かもしれないけど青春であって、歴史に名を残さない市井のありふれた活動でも、そういうことがそこら中に起きているのがいいことなんだろうな。デジタル世代でツールや社会環境は変わっても、その時代なりにそういうことは受け継がれているのだと思います。だから抽象絵画の覚醒と展開の2023年の現時点からまた未来にさらなる展開が続くことが楽しみですね。