防波堤の鳥たち

 台風の余波でまだまだ波が荒れていて、そこに真夏の太陽が照り付けて、海面はきらきらではなくぎらぎらと光っている。海に向かって立っていると、私の短い髪の毛ですら風に煽られて、おでこが露わになる。防波堤から釣りをしている人がいるが、こう風と波が強いと釣果は望めないのではないか?見ていると試しに一度二度、仕掛けを投げ入れるものの、すぐに帰って行く人が多い。防波堤の突先のコンクリートの躯体の上に、たくさんの鳥がいるのを見つけたので、超望遠までカバーしているコンパクトデジカメ(とはいえもうコンパクトとは言えない大きさ)で、その超望遠にして撮ってみた。ほとんどがカモメと思われるが、一羽だけ首の長い鳥も混じっている。このあと、この躯体に近い場所にあらたな釣り人がやってきて、それを機に、鳥たちが飛び立ったが、1/3くらいの鳥はちょっとどうしようかな?と悩んだ挙句に飛ばずにそのままにいた。鳥がここにじっとしている、その理由はなんだろう?暑いけど海風が心地よいのか?でも彼らは空を自由に飛び回れるからそれですでに風に乗って気持ちが良さそうに思えるが、人が走るときと同じく筋肉を動かし翼をはばたかせるのは疲れるものなのか?できればここで休んでいたのか?

 とうとう首の長い鳥も飛び立った。鵜のように見えたがよくわからなかった。ウインドサーフィンの人が風を受けて、フィンだけを海面に滑らせて飛んでいくようだ。さて、私もそろそろ帰ろうか。潮風に曇った眼鏡を新しい白いTシャツで拭く。自販機でなにか買って飲んで行こうかな、たまにはコカ・コーラもいいかもしれない。

 初めてコカ・コーラを飲んだのは夏休みで、7歳くらいで、群馬の前橋にあった祖父の家でのこと。両親と祖父と祖母が見守るから、こちらも強がって、それがどんな味であっても、うんうんなかなか美味しいじゃん、とかなんとか言おうと思って飲んだんじゃないだろうか。ふと思い出した。

 台風が通り過ぎると少しだけ晩夏になっていきますね。