口笛のブルース

 昨日使った誰もいない公園のバスケットボールコートの写真、そのコートからフェンスを挟んだすぐ隣は幼児用の公園になっていた。アヒル・・・というか海鳥のかたちの遊具が陽の光の中にたたずんでいる。

 ほとんど誰も見かけないなか、一人の20歳前後の青年が手にコーンのアイスクリームなのかな、ただのバニラではなくてカシスみたいな色だったけど、それを持って、駅の方からすごく速足で歩いて行きました。でも途中で舐めたりはしてないようで、この暑さではすぐに溶けてしまいそうだったけれど、彼としてはどうしても自宅まで持ち帰ってからゆっくり食べたかったのだろうか?

 もう一人、この公園を抜けたところには都営の北品川アパートと書いてあっただろうか、古くからあるアパートからひとりのおじさんが出て来た。着古したTシャツ、首にタオルを巻いて、無精ひげで髪も乱れている。おじさんがのろのろと歩く。私が追い抜く。だけど私はときどき写真に撮りたいものを見つけて立ち止まるから、またおじさんに抜かれる。そんな風に前に行ったり後ろにいたりしながら、数百メートルおじさんと付かず離れず同じ方向へ歩いていた。最終的におじさんは昼飯を食べるためにラーメン店に入って行くのだが、そこに着く少し前から口笛を吹き始めた。最近は街で口笛を吹きながら歩いている人、見かけなくなった気がする。そしてそのおじさんの吹く口笛、曲名まではわからなかったけれど、これがブルースなんですよ。思わず聴いてしまう、すごくいい、上手。ジャズのスタンダードになっているサマー・タイムって曲がありますが、その曲そのものではないけど、暑い昼間の街を歩きながら、実におしゃれな口笛を聴くことができました。ま、おじさんご自身は上記の通りの風貌なんだけど、そのうちそれもまた物語に思えてくる。

 ミスチルが2000年に出した「口笛」という曲がありました。シングルCDを買った数少ない曲のひとつ。あの歌詞で歌われている男が彼女への募る思いを口笛に載せる、その口笛で吹く曲はなんなんだろう?少なくともブルースではないだろう。