ホンマタカシの展示

 東京都写真美術館ホンマタカシの展示がはじまっています。二週間くらい前だろうか、早速、行ってきました。大型プリントで展示されているのは、ビルなどの一室をピンホールカメラの暗箱に見立て、光を取り込んで印画紙?フイルム?に固定された光の痕跡。いや・・・もっと簡単に言えば、ビルの一室を暗箱にしたピンホール写真、とういことだけれど、なんか写真という当たり前の単語から遠い感じがしてしまい、わざわざこんな「光の痕跡」などと書いてしまいました。展示は、作品にもよりますが、その暗室の中で倒立した像を見ているように、倒立したプリントで展示されているものが多い。ただ大きなプリントを人が見ているのとは天地逆に展示しているというのではなく、ちゃんと暗箱に自分が入り込んで、天地逆なのではなく、そこに見えている通りに展示している、という納得感も覚える。とかなんとか、こんな風に解説的な文章を書いているけれど、もっとその前段で、心躍る感じをわっと受けるのです。それは展示室から覗き見るとビートルズのrevolutionNo9にオマージュしている9の数字が見える「展示エリア内暗箱」があり、そこからワクワクと気分が高揚していく。そういう自分の気分の高揚を見ていると、冷静なもう一人の自分が、おいおいなんだかちょっと悔しくないか?と言ってくる、そういう感じでした。

 写真は展示されていた一枚の山の写真の表面に写り込んでいた鑑賞者の影を数枚撮って、それをまたレイヤーで重ねてみたのですが、そんな画像処理をするというコンセプトというか理屈や理由はよくわかりません。だけど、そういうことをちょっとやってみようと、自分がそういう気持ちになったのは、展示を観て高揚させられてしまったそのエネルギーのせいなんじゃないか?