学生時代に読んだ本

 二十代後半の、それぞれ違うロックバンドで歌を歌っているらしい女性二人がやっているポッドキャスト番組がどういう分析の結果なのか、おススメに出ていたので、最新回を聴いてみたら、なんだかちょっと面白いので、もうひとつ聴いてみようと、相当前の回をひとつ適当に選んで聴いてみた。リスナーの大学一年になったばかりの女子学生のメールが読まれて、大学のときに読むべき本はなんですか?と書かれている。それで、二人の女性が、自分たちが読んだ本をあれこれ思い返しては、何冊か本の名前を挙げていて、そのなかにサリンジャーフラニーとズーイが挙げられていた。

 お二人は、とても読書家のようで、別のメールの都内のおススメの本屋を教えて欲しいという問いかけにも、いろんな個性派書店を次々と挙げていた。何軒かは私も知っていて、なるほどね、と思ったし、何軒かは知らなかった。

 時代とともに読むべき本も、ベストセラー作家も変化していくから、自分が大学のときに読んで大きな影響を受けた本が、いまの大学生に、イコールおススメになるとは限らない、というか多くの場合はならない。ちょっと前に大学生だったのならともかく、わたしのようにすごく前だとなおさらかけ離れて行く。

 なのでおススメなんかできるわけないが、自分が学生のときに読んでいた本はなにか?影響を受けた本はどれか?と問われても、面白くて夢中で読んだ本はいくらでも覚えているが、それが大人になるための視野を広げてくれたとか、新たな世界を見せてくれ将来のことを考えるよい指針になったとか・・・そういうのはぜんぜん浮かびませんね。もっと言うと、すごく影響を受けた恩師もいないのですね。これは巡りあわせが無かったというのではなく、私が先生に影響を受けるような性格ではなかったのだろう。

 ためしに二人の女性が所属しているそれぞれのロックバンドのうち、片方をSpotifyで聴いてみたら、すごい気に入ってしまいました。

 描かれている物語のような、恋をしてみたい、暮らしをしてみたい、と思ったのは片岡義男の「彼のオートバイ、彼女の島」だったかもしれない。あの小説を読んで、中型二輪免許を取りに行き、オートバイを買ったものだ。将来とか指針とかとは関係なく。

 写真と文は関連なしですね。先日、数十年振り二回目くらいで降りてみた京浜東北根岸線根岸駅。知らない駅前広場って、写真を撮りたくなる。

 大学時代にたくさん読んだのは、角川文庫のキャンペーンにすっかり乗せられて読みまくった横溝正史でしょ、それから五木寛之、笑いながら読みまくっていた筒井康隆、その頃人気が出始めていた片岡義男、とかだった。あと、そういうエンタテイメントとは違った気分で大事に読んでいたのは、ブローティガンと、レイ・ブラッドベリでした。