師走は上滑るように時間だけ過ぎる

 人馬一体って言葉がありますね。馬じゃないけど、むかし、二十代三十代の頃に、250cc排気量のオートバイに乗って遊んでいました。毎日乗っているときは自然と身体とオートバイが人馬一体というのか人単車一体な感じになって運転しているけれど、例えば風邪を引いたり仕事が忙しかったりで、一週間乗らずにいると、運転をはじめてすぐは、その「一体」が失われてしまい、ちょっとぎくしゃくした感じになったものです。自分が操縦し、単車がその通りに応じ、そこにタイムラグがない動きになるまで少し人馬一体調整時間が必要だったような感じです。その間はなんか運転が上滑りで、落ち着きがなく、それでもオートバイは走って行く。こちらが運転しているより、乗せられて運ばれて行くような気がしました。

 上記のことをなんで突然書いたかというと、この師走の日々の過ごし方が、そのような感じで上滑りして落ち着きがなく、時間だけがどんどん過ぎて、あっというまにもうあと12日くらいで大晦日になってしまう、そういう感じがしていて、その感じってなんだろう?と思っていたら、上記のオートバイの思い出が出てきたというわけです。

 忘年会がたくさんあるんだけど、せめて食べたものが美味しかったかどうか、いやせめてそれ以前になにを食べたのか、くらいは覚えておきたい。覚えるというか食べているその瞬間にちゃんと味わいもせず、なんとなく噛んで、そこに集中できず、飲み込んでから、何食べたんだっけ?となっている気がしてしまう。

 銀杏の茶わん蒸し、お造りは烏賊と大トロと鯛、天婦羅盛り合わせは海老とカボチャと大葉と鱚、蛤が一つ入った潮汁、焼き魚の切り身は鰤だったかな、最後に握り寿司が出て、それはいくらでしょ、それとはまちと赤身と烏賊と鉄火巻きに中トロ・・・以上が昨日の寿司割烹で五人で食べたもので、みんなが順に飲んだ緑川と天鷹〆張鶴をちょっとだけ飲んだ。あ、書き出してみると、けっこう覚えていますね。良かった良かった。でも忘れているからほかにあったかもしれないものは判りません。会費5000円。

 写真は関東平野宇都宮線で走ったときの車窓風景です。古河と小山のあいだくらいかな。