夜のホーム

  昨日の金曜、朝早くいつも通り自家用車で都内の会社に向けて出発したが、最初の高速の出口あたりで減速中、車が小刻みに振動して、なんか変だなぁと思っていたら目の前でエンジン警告灯が点灯した。とりあえず家に引き返して車を駐車場に入れてから、バスと電車で出勤し直した。車で出る前に昼に食べるチキンサラダをコンビニで買い助手席に置いていた。電車通勤となると、それをデイバックに入れて、すなわち横にして持ってくことになる。レタスやチキンから滲み出た水分がサラダの透明パッケージの隙間から漏れるかな?とそれが気になった。ちなみに他にも買った物は、久々にあったヤクルト1000やミニメンチカツバーガーなので、こういうのはデイバックに放り込んでも大丈夫だ。

 結果、サラダから水分は染み出さず済んだが、些細なことがずっと気になった通勤だった。そのまま車で行けば6時半に到着したはずなのだが、7時40分になっていた。今年になってから、パンク(左後輪に見事に木ネジが一本刺さっていた)、フロントガラスの小さなヒビ(小石か何かが当たったピキッという音が聞こえた)、私の運転ミスで何箇所か擦り傷、そして今朝のエンジン警告灯と車に関してはトラブル続き。もしそのまんま車で行ってたら事故に会ってたかもしれないじゃん、というような慰めパターンが有るけれど、そう思ってみたくなる。

 久々の電車通勤だった。帰路はコロナ用心で少しでも密を避けたく800円払ってグリーン車に乗り、隣席は誰も来ず、コンデジで60枚ほど車窓写真を撮った。上の写真はAFがすこしピントを外していて、前の駒のときにした露出アンダー設定を解除し忘れて、なんだか暗くてぼんやりとしている。もっときれいに写ってる踏切待ちの人たちの写真なんかも撮れていたが、迷ったけど、この写真をブログ用に選んだ。もちろんこの写真がなにかざわざわと記憶を揺すぶる感じがしたからです。

 夜の闇、閑散としたホーム、のぼりとくだり、それぞれスマホに夢中な男たち。荒れてぶれてぼけた不安定。こういう、自分で撮ったとはいえどんどん車窓に飛んでいく景色なので、意図せずカメラ任せで写った写真ともいえる。それを家に帰って第三者気分で眺めてると、かつて夜のホームに自分がいて、焦燥と期待と諦めと、楽観と悲観と激しく動き回る心を抱えつつも、じっと立って本を読んでいた(スマホはなかった時代)そんなこともあっただろうなと思う。やがて電車が闇の中からやってきて、明るい車内へと誘い、乗車するという行為をすることで、少しだけ不安な思いを断ち切ってくれる。そんな夜、私は、あるいは、あなたは、どこに帰ろうとしていましたか?そしてあの焦燥の日々はどう変わったんだろう?

 いや、そんな悩みを抱えているような状態じゃないっす。ただちょっと残業して、電車が行っちゃったばかりのホームの端っこにいて、端っこまで来たのはこの先の乗り換え駅で階段が近いのと、比較的このあたりなら空いてるからです。スマホではアマプラで松重豊さんも栗山千明さんも美味しそうにたっぷり食べていて、そうだ!今日はルーロー飯を成城石井あたりで買おうか?成城石井にあったか?あっても売り切れてるか?そしたらそれはそれで考えよう。まぁ、ビールは飲みたい。彼女にラインしようか、あいつ最近ライン少なくても昔みたいに文句言わなくなったよなぁ……あれ?オレやばいのかな……多くの場合はせいぜいそんなところです。焦燥と期待と諦めなんて滅多にない。

 土曜はくもりときどき晴れ、最高気温がこの湘南地方でおおむね29℃で、風もあり、久々に外を歩いていても気持ちよい日だったが、それゆえ、えっ?もう夏が終わり?という気持ちもあった。大丈夫、明日からまた暑くなるらしい。上記のホームの男が思っていることの想像に「成城石井のルーロー飯」と書いたが、実際に今日の夕方、それを買ってきて、夜、グランパスヴィッセルに大勝するのを見ながら、食べました。